【ヴィンテージアロハシャツを学ぼう… #7】後発ブランドは、日本画のような繊細な表現で勝負に出た。

ヴィンテージアロハシャツの起源と歴史 (その7)

ヴィンテージアロハシャツの復刻を手がけるサンサーフが所蔵する、歴史的な価値が高い貴重なヴィンテージコレクションから7つのアイテムを厳選。それぞれが残した功績をとおして、アロハシャツの奥深いヒストリーをひもといていこう。
 
(『昭和50年男』本誌 2021年 9月号/vol.012 掲載
 “ファッション狂騒曲”「アロハシャツのカルチャー徹底解説」より 抜粋 )
 

[前回]
【ヴィンテージアロハシャツを学ぼう … #6】
 ゴーギャンの版画が絵柄となった名品。

 


  
日本画に見られるようなにじみやぼかしを表現し、着るアートへと昇華。

ブランド名: キロハナ
所蔵:サンサーフ (東洋エンタープライズ)

独創的な和柄で他とは差別化

日系人のヤエコ・ナカノが1952年に創業したキロハナ・ディストリビューターズ社のブランド。当時、裕福な人しか飼うことができなかった金魚は、財運や繁栄の象徴とされていた。同社はそうした日本ならではのモチーフが美しく表現された柄でアメリカの人々を魅了した。

▲オーバープリントによって、繊細な絵柄がグラデーションで表現されている。そして、ボタンは和柄と相性のよいバンブーボタンを採用しているのもポイント

 
後発銘柄の勝負どころは和の世界観の強調だった

ここまで紹介してきたブランドのなかでは、最も後発となるのがキロハナ。1952年に創業したキロハナ・ディストリビューターズ社のブランドだ。

1950年代に入ってアロハシャツの需要が増え、先行していた大手資本メーカーが勢力を拡大するなかで、家族経営の小さな会社だったキロハナ・ディストリビューターズ社は、他社製品との差別化を図っていった。繊細な色使いで表現される独創的な柄で勝負したのだ。その狙いを実現するのに打ってつけだったのが、オーバープリント (※) で表現された和柄。日本画に見られるようなにじみやぼかしが壁縮緬の生地に盛り込まれ、まさに “着るアート” としての地位を不動のものとした。

ゴーギャンの版画を元にしたカメハメハの作品の芸術性も他と一線を画しているが、アロハシャツ黎明期から続く日系移民が持ち込んだ和柄の文化が結実したキロハナの作品もマスターピースとして揺るぎない。
 
 
オーバープリント=淡い色から濃い色へと順番に色の版を摺り重ねていくプリント技法。使える色数が多くなり、境目の色が重なるためにグラデーションが映える
 
 
→ 次回 (#8) へ続く
 
 
取材・文: 國領磨人  撮影: 西谷圭司  取材協力: 中野喜啓 (サンサーフ)
 
掲載アイテムに関するお問い合わせ: 東洋エンタープライズ
 


  
 8月11日(水) より発売中!『昭和50年男』2021年 9月号/vol.012

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