さらば、貿易センタービル。

奇跡のセットだ。カツ丼にもりそばや、ちょっと気の利いたところだとたぬきなんかをラインナップしているが、まさかまさかのカレー南蛮とは恐れ入る。僕のつぶやきにちょくちょく登場する、江戸時代から続く老舗そば屋の布屋更科のセットメニューだ。

 

布屋更科は浜松町に2軒あって、少々雰囲気が異なるのがよい。増上寺の大門近くにあるのが本店で、琴の音が心地よくちょっぴり風格が漂う。そして今日の写真を提供するもう一軒は、貿易センタービルにある。昭和な空気が炸裂しまくっている地下食堂街に、その雰囲気と見事なまでにマッチした店で、同世代男子はこちらの方を好むかもしれない。気さくなおばちゃんたちがテキパキと楽しそうに働く姿は、食いながら元気になれる。

 

両店ともに提供しているこのセットは、丼モノはカツ丼以外にも天丼と親子丼が、そばの方はご覧のカレー南蛮と、ざるか花巻(海苔入りの温かいそば)がそれぞれ組み合わせることができる。ガツンといきたい時に、このヘビー級のセットを頬張るわけだ。おもしろいのは本店がお吸い物なのに対して、こちらが味噌汁なことで値段もわずかに安い。こうしたすみわけは、総じて貿易センタービルの方に庶民ぽさがある。働くおばちゃん同様なのだ。まだやったことがないのだが、夜の呑みもこちらは楽しいだろう。おばちゃんたちから、「あんた呑みすぎよおっ」とかきっといじられるはずだ。

 

さて、昭和遺産である貿易センタービルなのだが建て替えが決定している。残念無念な話で、この昭和な老舗とお別れなのだ。他にも、僕がこよなく愛する、もしかしたら港区で一番しょっぱくて昭和なチャーハン味噌ラーメンをラインナップしている店もある。“モツル”ビールをだす昭和なイタリアーンなんかもあり、おっさんにとってはパラダイスだ。建て替えた後には小ぎれいな大資本系の店舗ばかりが入ることが容易に想像できるから、なおさみしい。昭和な食堂街を楽しむのは今のうちだぞっ!!

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