正しい居酒屋とは? 〜河島英五さんの世界を目指せ!!〜

大阪滞在はそれほど長くならなかったが、大きな影響を受けて東京に帰ってきた。
「へのへのもへじ」の板長のことは今もハッキリと覚えている。中途半端な関西弁
が身に付いてしまい、今も酔っぱらうとたまにヘンテコ言語になってしまう。

旅立つときの約束通り「あいうえお」に復帰した。「五右衛門」と「まっちゃん」も以前
のまま、あたたかく迎えてくれた。20歳になり変わらない居酒屋道を突き進んでいた
が、グループ店に「ケネディクラブ」なるショットバーが加わり、バーの世界を知ること
になった。バイトながら社長に声をかけてもらい、呑みに行く機会をつくってくれた際、
バーのことをもっと知りたいと言うと、銀座の名店で今はなき「鴻の巣」やトリスバー
なんかに連れて行ってくれた。居酒屋道ではないが、この経験も今に至る大きなもの
である。

というわけで、僕の呑んべえ人生は高校時代から20歳に至るところで完全に形成
されてしまったのだ。そんな若い頃からの経験のおかげで、馴染みの店を持つ楽しさ
を覚えた。居酒屋だけでなく寿司屋もバーも同様で、どれも有名店ではないが僕なり
の尺度で大好きな店たちである。まっちゃんといまだにつき合いがあることは本当に
うれしく、僕の呑んべえ人生を最も長く見ている人である。また『浅草秘密基地』の
舞台である「フィガロ」のマスターとも、20年近いつき合いをさせてもらっていて、いつも
大きな力をもらっている。

人生が酒とともにある。演歌みたいだが、酒のせいでの失敗や悲しい思いもないと
言えば嘘になる。でも、それをはるかに凌駕するいい経験や気持ちを連れてきてくれる
のだ。雑誌をつくり終えて呑む、共に闘った仲間との一杯はいつも最高であり、旅先で
フラッと入った店が大当たりだったときも幸せである。いい酒を呑むことはいつからか
僕にとっての男道となり、テーマになっていると思う。崩れないように。愚痴らないように。
悪口を言わないように。河島英五さんの『時代遅れ』が理想であるが、まだまだそこに
至らない僕だから、今宵も街へと修行に向かうのだ。

そして僕にとって、正しい居酒屋とは? こぢんまりとした店で気の利いた肴と店員が
いること。おばちゃんでもいいし、渋い親父さんでもいい。若い兄ちゃんや姉ちゃんが
ホールをやってるのはあまり好きじゃないから、やはり大箱チェーン店からはどうしても
足が遠ざかってしまう。すなわち、呑んべえの心をわかっている人間がやっている店
であるのだ。従業員が多くても、仮に若くても全員が『時代遅れ』を歌える店ならよい(笑)。
人の口に入るものを供するビジネスである。加えて、人生を考察する時間と空間を供する
のであるから、やってる側の心がそのまま出てしまうのである。ありゃ、雑誌と一緒じゃ
ないの。オシマイ。

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2件のコメント

  1. 昨日、いやもう一昨日ですね
    突然の乱入にお相手していただきありがとうございました

    居酒屋、好きです
    いまもアメ横で立ち飲みしています

    次回居酒屋で作戦会議よろしくお願いします
    湯本

    • 乱入ありがとうございました。すっげー楽しかったですよ。また呑みましょうね。

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