ロック御三家、永ちゃん、サザンオールスターズのミラクルイヤー!!

俺たち世代にとってロックとの出会いはどこじゃ? もう次号vol.63が発売間近ではあるが、目下の最新号 vol.62 の連載特集「夢、あふれていた俺たちの時代」で昭和53年(1978年) を取り上げ、「ロックがブレイク、お茶の間に進出!」という記事を作った。うんうん、なんとなくこの年が俺たちとロックとの出会いに感じられる。それまで夢中だったいわゆる歌謡曲から、ちょっと背伸びできるロックっぽい音楽が怒涛のごとく攻め込んできた年だ。

 

ひろみ、ゴロー、秀樹の新御三家に対して、ロック御三家と呼ばれたのはCHARと原田真二、世良公則&ツイストだった。チャーさんはデビューが76年だからちょっと先輩ながら、ビッグヒットとなった「闘牛士」がこの年だ。ちなみに写真のデビューアルバムは、とんでもないロックアルバムでありギターアルバムだ。日本の音楽史に燦然と輝く名盤だが、俺たちにとっては「闘牛士」の方が馴染み深いな。が、大人になった今ならこのアルバムのすごさが身にしみるはずだから、興味のある方はぜひ。おっといけねえ、ロック御三家の話だ。77年デビューの原田真二さんは、翌年の頭に伝説の3曲同時ヒットで暴れた。世良さんも前年の11月に「あんたのバラード」でデビューして、ヒットチャートに送り込んだ。まさに昭和53年は彼ら御三家の年だ。それぞれにロックを感じさせたし、新御三家のようなアイドルです、歌手なんです、かっこいいんですといった押し出しがなく、俺ミュージシャンですからという個性を感じさせた。

 

さらにこの年、資生堂のCMソングに起用された「時間よ止まれ」がヒットチャートを駆け上がった。お恥ずかしい話だが、僕はそれまでキャロルに真剣に触れたことがなく、永ちゃんの声を初めて認識した曲だ。その声に当然ながら痺れた。ジュリーでないのにこんなにかっこいいんだと、今となっては訳の分からぬ解釈をしながら強く憧れた。グラスが汗をかく。そこにはジンが入っている。そして光る汗。まだおしべとめしべがいまいちわかっていないガキながら、男の本能をゾクゾクさせるに十分な戦闘力だった。僕の大きな誤解は歌い出しの “♪罪な〜” は、“装備なやつさ” だと聴いていたから意味不明だった。そしてエンディングがまさか “Stop the world” とは恐れ入った。ソーサムってどんな意味なんだろうと解決しないまま大人になり、ある日友人が歌ったカラオケで真実を知ったのだった。

 

そしてこの年は奇跡が起こる。『ザ・ベストテン』にスポットライトで登場したサザンオールスターズだ。ロックであり、大騒ぎであり、何を言っているかわからない。しかも、ロック御三家以上に見た目に金がかかっていない。なんせ短パンなのだから。あの瞬間に付き合った同世代諸氏は多かろう。きっと僕同様、口を開けたまま新しい時代の幕開けを感じたはずだ。と、やはり昭和53年とロックは深く絡み合い、以後、甲斐さんやゴダイゴといったますますロックになっていくシーンを楽しんだのだった。

 

サザンがデビューから40年を経た大晦日に、桑田さんは美空ひばりと肩を並べた。紅白歌合戦の大トリである。あの日スポットライトでぶちかました曲が、国民的な名曲へと昇華したのは痛快で、涙が止まらずよく見えなかった。あの短パン兄ちゃんが、ここに至ることを予感した者はおるまい。だが、時代が変わっていくだろうことは、誰もが感じたはずだ。な〜んてことを思い出させてくれる最新号はやっぱりおもしろいぞ。そこかーっ!!

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2件のコメント

  1. 俺にとって、ロック(バンド)との出会いの記憶…

    昭和53年よりチョイ前の小学生の頃、ブラウン管に映ったダウン・ダウン・ブギウギ・バンドやなぁ〜
    『クソして一服』ってテレビで歌うの、そんなんええんやぁ〜!衝撃ぃ〜!面白ぃ〜!

    ガキのうんこネタ大好き心を鷲掴みにされた瞬間でした。

    • 港のヨーコも衝撃でした。あの曲によって横浜ってどんなに素敵なところなんだろうとガキ3人で旅に出て、迷子になってお巡りさんの世話になりました。

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