ロッド・スチュワートが歌った香港・トキオ。

このアルバムはアメリカに移り住んで以降のロッドの作品では、マイベスト3に入るアルバムだ。日本のお茶の間にまで進出した大ヒット曲『アイム・セクシー』を収録した『スーパースターはブロンドがお好き』を中1の冬に購入したのが、僕にとってロッドの初アルバムだ。当時はレコードを買ったら好きになるまで聞きたおす。が、結局このアルバムはクイーンに比べると好きになれず、僕の洋楽路線はロックンロール系から少し距離を置いて始まった。だがそれでも、しゃがれ声と金髪のかっこよさから気になる男で、完全に離れることはなかった。クイーンから辿ったプログレや、ギターを弾き始めたから憧れるハードロックを中心に聴いていたにも関わらず、ある日ベストアルバムを手に入れて、この時こそロッドワールドに本格的にハマり、さらに写真の『パンドラの匣』を手に入れた。やはり中坊だった。

 

ストーンズやR&B、さらにはブルースまで掘り込んでしまう変態になってしまった起点は、紛れもなくロッドだ。ベストアルバムはほとんどの曲の歌詞まで頭に入っているほど聴き込んだ。ディープ・パープルの『ハイウェイスター』を練習しながら、ロッドのバラードに本気で涙する。これは今考えると、中坊としてはすばらしいアクションだ。そしてこのアルバムと出会い、ますますロッドにはまっていく。ニッカウィスキーのCMに採用された『今宵焦がれて』や、ド派手なロックナンバーのA面アタマの『ベター・オフ・デッド』とB面アタマの『自由への翼』なんかも大のお気に入りだ。そしてA-2の『パッション』がいい。ベストアルバムでも聞いたことのないタイプの曲で、『ダイヤトーンポップスベストテン』でもチャートインしたと記憶している。

 

パッションと繰り返す印象的な曲で、1発で記憶に残る曲だ。歌詞に世界の都市を並べる部分があり、まずニューヨークとモスクワと歌われ、続けて香港・トキオとなる。憧れのロッド様が東京と歌ってくれたことがうれしく思えるほど、僕にとってはアイドルだったのだ。ちなみにこの後は、パリ・バンコクと続く。この曲で叫ばれた6つの都市がこのラインナップだったのだ。

 

さて、今日なぜこのアルバムでつぶやいているのか。一昨日より香港は中国になり、その報道を見るにつけこの曲が頭で鳴るのだ。ロッドが歌い上げるほどの魅力ある都市で、東京と並んで歌われていることに親近感を得ていたし、一度は訪れたいと思っていた。が、もうその気は失せてしまった。もちろん、香港が悪いわけでない。テレビからは、中国が強権と独裁で抑圧する許しがたい映像が多く流れていて、その暴走っぷりに強い強い怒りがある。米中がわがままに突っ走り、それを眺めて我が国もと追随していくリーダーが散見される昨今だ。人類の野蛮化がアチコチで進んでいると、僕は強く憤っている。日本人としてはどげんかせにゃならぬ!! せめて声をあげるくらいしかできない無力な僕だが、その気持ちは強く持っていたい。

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