表紙で振り返る令和元年 ~その五。

7月の次に好きな5月発行の1冊は、またも現代社会へ大問題を投げかけた。ご覧の表紙は、僕の雑誌作り人生で最もぶっ飛んだものだ。これを超える表紙を将来リリースすることができるだろうか。仕事人生の課題まで投げ込んでくれた1冊になった。

 

5月は母の日だからと組んだ安易な発想の特集ながら、そのまま置きにいくような表紙は作りたくない。企画自体も俺たちの母100として、俺たちのお母さんを選出してランキングした悪ノリがすごかったりする。表紙だけでなく内容もぶっ飛んでいて、ところどころにパンクを入れ込んである、自分としてはものすごく気に入っている1冊だ。

 

さらに、令和へと元号が変わった月だからと取り組んだ企画が平成である。連載特集の『夢、あふれていた俺たちの時代』は、昭和40年男世代にとって記憶が鮮明になりつつある昭和46年から、昭和の最後となった63年までの1年をピックアップしながらお届けしている。が、改元のタイミングはチャンスだと、初めて取り上げたのが平成元年だった。これはまた新鮮な内容になり、僕は表紙のロゴ上に昭和64年と記載していったんは印刷所に入れた。ご覧の令和元年と散々迷ったのだ。あえて昭和64年とするのはウチらしいが、それでなくともひねった表紙だ。そこまでやるのはひねり過ぎかなと、試し刷りを戻す時にこうして直したのである。

 

ものすごく気に入っている1冊なのだが、セールスは伸びなかった。ダンディな同世代諸氏はこの表紙の雑誌をレジのかわいいいお嬢さんに差し出せなかったのだろう。実は『昭和40年男』を作っていてわりとよくある現象である。僕が気に入った本がダメ。やりすぎるとダメ。うーむ、ダメじゃん。いやいや、チャレンジを繰り返す、これでいいのだ!!

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