正しい居酒屋とは? 〜鼻血なんか怖くない〜

こうもバカバカしいことばかり書いている自分を少々疑ってみたりするが、
ともかく今、できる者には平常な日々をまっとうすることだとの信念を持ち
進んでいくことにする。大切な友人からこんなメールをもらった。「何でも
かんでも自粛じゃなくて、節約しつつも縮こまらずに普通に生活することが、
経済の元気に繋がる。僕もまた馬鹿ブログに戻していこうと思います。
難しいかもしれませんが」。そう、難しいのである。ハートボロボロである。
だが、できることに思いっきり力を注ぐことこそが自分であるのだと言い
聞かせながら踏ん張っていたところにもらったメールだったので、ホントに
泣きましたよ。サンキューです。つうわけで昨日書き始めた居酒屋について
の続きである。僕は居酒屋が大好きだ。その僕が歩んできた居酒屋道である。

生のレバーが目の前にある。ごま塩なるつけダレも生まれて初めて見た。
僕をここへと誘った石田は箸でかるくこのタレをかき回して、レバーをひとつ
取り、そこにつけた。そのまま口に運ぶと普段、絶対に見せることのない
恍惚の表情を浮かべた。「やっぱりここのレバ刺しは最高だな」と、繰り返すが
高2の男である。その表情を見て僕も箸を出した。白ごまが散らしてある
真っ赤なレバーを石田と同じようにごま塩へと運び、そのまま口へと持って
いった。なんじゃこりゃー!! 松田優作現象である。うめーっ!! その日まで
持っていたレバー観(!?)を根底から覆し、僕は再び石田と神に感謝した。
得意げな上から目線のヤツにはチョットむかつくが、それをはるかに凌駕
する感動を僕に与えてくれたのだった。うまいうまいと食い進めていると、
続けて熱々のハツ塩がカウンター越しの板さんから手渡された。ぎょえーっ、
5本も乗っているじゃないの。しかも1本80円て、商店街の値段である。
もう興奮の連続でビールがドンドン空いていく。だんだんとこの大人の
階段登りに慣れてきた僕は、壁のメニューを正視できるところまでに至って
いた。そして気が付いたのは、ほとんどの串焼きが400円であるということ。
つまり、この店の串焼きはほとんどが80円で食えるのである。おーっ、
高校生のお財布にも安心なこの設定は、実はおっさんたちも大喜びなのね。
またまた大人の階段を登った気がした。

ネギマを食べたいと石田に告げると「いいね」と店員さんを呼び「ネギマ、塩で」
とまたまたクールに決めた。ネギマはタレで食べたいと心が叫ぶお子ちゃまな
僕だったが、このときそれを訴えるほど無粋な僕でない。なんてったって憧れの
寅さんや高倉健さんに近づこうとしている、勇気ある高校2年生なのだから。
それともうひとつ、レバ刺しをおかわりした。「じゃあ、今度はニンニクで」と、
石田はますます冴え渡っているのだった。鼻血が出るかもしれないと僕の心が
叫ぶ。解説しよう。我が北村家ではなんでも食べ過ぎると鼻血がでるからと
止められた。たぶんみなさんもも大なり小なり言われたことがあるだろう。
さっちゃんがバナナを半分しか食べられないのとはわけが違う。おそらく
北村家の財政の都合で語られたことなのだと気付いたのは、ずいぶんと
大人になってからで、このときはまだ鼻血が出る現象を信じていた。でも
もういいのである。このレバ刺しのうまさに鼻血など恐れることはない。
どれだけ流れようがいいぜと覚悟を決めた僕だったのである。続くよーん。

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