大編集後記その八。『すみれSeptember Love』の響き。

一風堂

♪それは〜♪で始まるつかみはバッチリで、全編にキャッチーな言葉が散りばめられた歌詞が新しかった。サウンドもヨーロッパ調のナウでヤング(笑)な感じがして、歌詞同様に新鮮な香りがプンプンしていた。そして土屋昌巳さんの中世的なルックスと、それに不釣り合いなスーパーギタープレイにドッキリさせられ、なんともスゴいヤツらが出てきたものだと、どんだけ上から目線なのかと突っ込みたいところだが、17歳の僕は一風堂をそう迎え入れたのだった。ロックスピリットの根底に脈々と流れるのがR&Bやブルースなどのブラックミュージックだと解釈して、そこへと深く深く掘っていくようにむさぼりついていた時期だ。そんな風に突っ張っているものの、耳に入ってくる音楽はハイティーンの心を鷲掴みにする。音楽を楽しむことが中心にあった僕に、ガツンと響き渡った曲だった。このヒットの少し前くらいから、欧米の音楽シーンと対等にやっていけるミュージシャンがゴロゴロ出てきたのはさすが勤勉な日本人であり、土屋昌巳さんも堂々その1人で、後にも多くの海外ミュージシャンと一緒にプレイしている。

1970年代から続く、資生堂 vs カネボウのキャンペーンは、日本の音楽レベルを上げるのにかなり大きな貢献を果たした。洋楽が国内に根づき、音楽シーンが絶頂期へと向かっていくお膳立てができた70年代後半から百花繚乱となっていく80年代に、季節ごとに展開されるキャンペーンから名曲の数々が生まれ続けた。アイドルっぽい歌謡曲でなく、ちょっと尖った楽曲が多いのは、このキャンペーンに心血を注いだ広告マンたちのセンスと情熱の賜物といっていいだろう。次点でコーセーもがんばっていたが、この2社の迫力と比べると劣ってしまう。

ブルックシールズまでも引っ張り出して展開されたこの年の秋のキャンペーンは、カネボウの圧勝だったと言っていいだろう。その大きな要因の1つが、『すみれSeptember Love』であり一風堂のミステリアスな存在だ。化粧品とのマッチングがいい。こうしたセンスを取り入れて、お茶の間にガンガン流したことが僕らの感性をどれほど磨いてくれたことか。この時代に流れていたいい空気感であり、サブカル全盛期の恩恵に感謝の気持ちを再確認させられる。今回のインタビューは、そんな時代の空気感をたっぷりと感じるものに仕上がった。まさに俺たちの時代であり、明日への元気へと繋げていただきたい。

2件のコメント

  1. 「研ナオコに似た男が、ギター弾いて歌ってる!」ってな感じで話題になりました。あれから30年以上も経ったんですね。
    最近見たのは、数年前ですがTVで放映されていた、河村隆一のコンサートにゲストギタリストとして出演されていた姿でした。いまだに上手いギターワークに感動!!

    • ハハハ、研ナオコさんとは僕は感じていませんでしたが、たしかにそうですね。おっしゃるとおりで、今も凄腕プレイヤーですよ。

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