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正しい居酒屋とは? 〜寿司屋のカウンターでウニと出会う〜

2011 年 3 月 25 日 プロデューサー コメント

この2週間が与えたものを、心に深く刻もう。心の痛みは大きくなる一方ですが、勇気
を持って前へと進みましょう。

 

僕がこれまで歩んできた居酒屋道の続きである。上野の小さな居酒屋「五右衛門」。
僕は虜になり、通った。激安というわけでないが、料理のレベルや当時はまだ少な
かった深夜営業、店員の大人たちから溢れる人生などなど、魅力満載で
コストパフォーマンスが高かったからだ。それともうひとつの魅力が、ここに通う常連
たちだ。僕はバイトが12時に終わってから店に行くから、同業者の方も多い。当然
ながら年上の方ばかりで、ここでもカワイイマスコットボーイになった。バイト先の
大学生とはまた異なる大人たちとの付き合いは、僕の人生の大きな肥やしになった
と思う。

 

同業者だけでない。ラブホテルのフロント係で働く人や、ホステスさん、バンドマン、
飲食店経営者などなど、様々な職業に就く個性的な方々が1人でフラッとやってくる
店だ。今日は忙しかったか? 僕のバイト先は当時の上野では目立つ大箱だったから
みなさんに聞かれるし、紹介されるときには「あいうえお」で働いていると注釈が付く
のだった。ほぼ毎日いるホステスさんを僕は姉さん(実際はずいぶんとおばさん)と
呼んでいた。いつもベロベロに酔っぱらう。店員のなべさんと仲がよく、五右衛門が
朝の4時に店が閉まると2人でよく呑みに行っていた。姉さんはベロベロでも行くので
ある。ある日2人に誘われ、付いて行った。また知らない世界を知ったのだ。朝の9時
までやっている店で、しかもそこそこ客は入っていた。ここのつまみはとてもコスト
パフォーマンスは低かったが、たぶんこの時間に来る客はそんなものを求めていない。
呑めればいいのである。うーん、居酒屋とはなんも奥の深いものだと感心させられた
のだった。店を出るともう街は完全に始まっていて、罪悪感さえ感じた。同時に翌日が
きついのは当たり前であり、後悔もしたのだった。クレイジーな大人たちに振り回される
ハイティーンの僕は、背伸びというより日常になっていった。

 

もう一店、居酒屋ではないが、ある日勇気を出して寿司屋ののれんをくぐった。ここも
今はなき店で「魚河岸」という寿司屋である。この名のチェーン店があるが、ここは
それとは違う。前に店長に連れてきてもらったことがあり、また給料日で気持ちが
大きくなっていたこともあり思い切って1人で入ってみた。「いらっしゃい」。1人である
ことを告げると入口に1番近くにいた板さんにこちらへと促された。この方は、今も
付き合いのある、以前このブログにも登場した“まっちゃん”である。18歳であることを
告げるとそんなガキが1人でよく入ってきたと褒めてくれ、いろいろとサービスしてくれた。

 

寿司屋のカウンターという楽しい場所、禁断の果実を手に入れたしまったのだ。魚の
説明をしてもらいながらその場で僕のためだけに拵えてくれる。握りももらった。この日
進められるがままに、生まれて始めて食べたのがウニだ。海苔とシャリとウニのコンビ
ネーションはこの世のものとは思えない、感動感涙であった。高2の時にレバ刺しで
受けた衝撃と同じレベルのすさまじいショックを僕に残し、また、大トロも食った。これも
初めてのとろけ具合で、天にも昇る気分を味わったのだ。現在、四半世紀以上の付き
合いになるまっちゃんは、たぶんティーンズプライスでの会計にしてくれたのだろうと
思う。したがってここも常連になった。ここの営業は2時までだったから「五右衛門」へと
ハシゴするゴールデンロードができ上がった日だ。続く

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