男は黙ってカツ丼。

男は黙ってサッポロビール!! 親父が大好きなセリフだった。ガキの頃はなぜそんなにも大人の心を躍らせるのかがわからなかったが、おっさんになればなるほど、そして日本がダメになればなるほど理解が深まるコピーだ。サッポロさんよお、今こそこのコピーでプロモーョンしてくれないかのお。いい時代のいいコピーだなあなんて、目を細めながらつぶやかせていただこう。

 

昼抜きダイエットがすっかり定着した。夏に迎える56歳の誕生日こそ、高校時代の体重に戻すと張り切っている僕だが、継続するためにたま〜に目一杯食って気持ちを逃がしてやる。張り詰めてばかりでは何事もうまくいかないと悟れたのは、やはり50歳を過ぎたおっさんゆえだ。で、昨日はそんな昼を過ごした。

 

「久しぶりだな、カレーかなカツ丼かな」と悩みに悩む。少し以前にカレーを食ったことを思い出してカツ丼に決め、足はそば屋へと向かう。最近安いチェーン店がのしてきたが、僕はまだ入ったことがない。正しいカツ丼はそば屋にありで、そばとのセットがさらに王道である。で、向かったのは芝商店街にある昭和なそば屋のやぶ砂さんだ。江戸そばの名店3大ブランドの“薮”と“砂場”を合わせた店名はちょっと欲張りかな。ちなみにもう1つのブランドが更科で浜松町には…、というよりこのつぶやきにお付き合いいただいている方々にはお馴染みの更科だ。つまり我が街には、この3大ブランドが同居しているのだ(笑)。

 

薮と砂場を合わせた店は、普通に昭和で大変よろしい。そばも丁寧かつ普通な仕事が施されていて、なくてはならないおばちゃん達の元気もこれまたよろしい。が、この店の客の多くがオーダーする1番人気はカレーライスだ。おそらく5割近くのおっさん達がオーダーしていて、ミニのかけかたぬき(50円増)とのセットも絶好調である。これがミニとは侮れない仕事っぷりで、たぬきは出汁で短冊ネギを煮て供する昔ながらのひと仕事がたまらない。このセットは僕にとってもやぶ砂さんのナンバーワンセットであり、女性や若者を寄せ付けない店の看板である。通った末にわかったことは、この店の人気は見事すぎる昭和なカレーライスに次いで2位がカツ丼で、3位が冷やしもありのたぬきである。このベスト3にこそ、昭和の街そば屋を感じるというわかっている(!?)ご貴兄はぜひ足を運んでいただきたい。

 

出てきた出てきた。昨日の僕にとってこれ以上のご馳走はなかった。しかも隣近所の席にはおっさんしかいない昭和パラダイスだ。これもカツ丼の味に拍車をかける。カワイイ女の子がいない分だけ、豪快に頬張るおっさん達ともちろん僕だ。隣の3人組に出されたカレーライスにちょっぴり心を持って行かれながらも「集中集中」と自分に檄を飛ばし、ひたすらに掻き込むべし掻き込むべし。「ふーっ、最高だぜ」と心がつぶやく。隣のおっさんはコロナでテーブルから消えた爪楊枝を所望してる。これまた昭和の正しいおっさん也。会計を済まして暖簾を後にしてニヒルにつぶやくのは「男ってのは街そば屋で鍛えられるのさっ」と、かつて駄菓子屋で感じた気分のままに職場に戻る。うーん、男の中の男だぜ〜いっ。

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