貸レコード店「ジャニス」。

昨日は取材で、老舗貸レコード店『ジャニス』に出かけてきた。千代田区のお茶の水にある店だ。僕は高校が秋葉原にあったのと、音楽好きだったこともあってこの街はなじみ深い。音楽だけでなく、さまざまな若者文化の交差点だった。よくよく考えてみれば、僕の人生で最もたくさんのお金をつぎ込んだ街だろう。ギターと関連機材、レコードに書籍、スポーツ用品と昼飯などなど、10台中盤から20台中盤にかけてとにかくしょっちゅう世話になった。その地に取材で訪れたのは感慨深いな。

久しぶりだった。明治大学が建て直されていて、少し似合わない気がしたのはかつてのボロっちい学び舎に慣れ親しんでいたから。古くからの店ががんばっている中に、チェーン店の看板が目立ち、喫茶店や安い定食屋がそれらにどんどん浸食されている。そんな裏通りにジャニス2号店はひっそりとたたずんでいる。ここの鈴木社長に話をうかがった。

次号の連載特集『夢、あふれていた俺たちの時代』では、昭和58年を取り上げる。おおーっ、18歳だよ。高校3年生、早生まれの人たちは大学か社会人1年生といったところだ。人生の大きな岐路であり、自分自身のことをもっとも考えた時期でないだろうか?
いい特集にしちゃうよー。

この年、貸レコード店が全盛であり、その懐かしい文化を聞かせていただいたのだ。レコードというのは貴重なものだった。実際高かったよね。2500円前後がほとんどで、高校生にとっては大きな出費だった。新品で買うのはよっぽどのお気に入りミュージシャンの新作や名盤で、たいがいはこうした貸レコード店や友人との貸し借り、エアチェックでまかなっていた。そうそう中古レコード店にもずいぶんと世話になったな。今みたいにいつでもどこでもネットで聴ける時代でなく、不便だがその中で工夫しながら音楽ソフトを探求していたよね。そんな時代に『ジャニス』は、多くの音楽ソフトを提供し続けてくれた。そして今も貸CD店を営んでいて、なんと今年30周年を迎えるとのこと。残念ながら若者は減ったという。そうだよな、今どきのネット少年たちは借りて聴くなんて面倒なことはしないだろうし、借りるにしても近所のツタヤで済ませるよな。『ジャニス』みたいななんとも癖のある貸CDショップは、やはり古い文化なのかもしれないな。きれいで清潔なファミレスのようなツタヤに対して、場末の居酒屋のような味なんか、現代人に必要ないのかもしれない。我々昭和40年男には必要だが。

当時、都内のディスコチャートをフリーペーパーにするという、斬新な情報発信をしていた。また、通ってくる若者のリクエストにガンガン応えたなんだか『ぴあ』のような目線のビジネスを展開していたのだ。そんな時代観がたっぷり詰まった次号の10月号の制作は、今まさに佳境を迎えていて、慌ただしい時間が過ぎているのだ。乞うご期待ですぞ!!

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2件のコメント

  1. 読者の昭和59年女です。
    ジャニスが昭和40年男で取り上げられるのですね!だいすきなお店なので嬉しいです。
    9月を楽しみに待っています☆

    • ごめんなさい、返信が遅れに送れてしまって。20歳近く下の女の子がジャニスに通って、クイーンを聴いているのはおじさんにはイメージできないなあ。今回清志郎でまた連載を始めましたが、さすがについて来れないんじゃないの?

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