今じゃ懐かしい、タバコがかもす世界。

素晴らしい看板をご近所で見つけた。お茶とタバコを販売するハイブリッド店舗で、双方に看板がしっかりとあり、タバコの方にはすばらしいコピーが付けられていた。まさにタバコはさまざまな場面で男を演出してくれる。疲れたふりして呑み屋でひとり、タバコに火をつければ誰よりもかっこいい男が出来上がる。そう、じつはそもそも疲れてなんかいないのに演じたいのさ。真夜中の寒い路地でも、コートの襟を立てて火を着けりゃたちまち映画スターだ。

 

俺たちが親しんだ歌には、タバコにまつわる多くの名シーンがある。RCサクセションの『トランジスタ・ラジオ』聴いていると、授業をサボった学校の屋上で青い煙が立ち上る映像がはっきりと浮かぶ。キヨシローは『僕の好きな先生』でもタバコを吸う先生を登場させて、まるでその風貌が見えてくるような歌になっている。

 

『スモーキン・ブギ』や『母に捧げるバラード』がヒットした頃はまだまだガキすぎて試すにはいたらず、親父が吸っているのがまさしく煙たかったが、小学生とタバコの距離をグーンと縮めた功績は大きい(笑)。そうそう、ガキの頃といえば中条きよしさんの『うそ』も鮮烈な記憶である。折れたタバコでわかる嘘ってどんなんだよと思いつつも、子供心にスゲー歌詞だなと感心させられた。演歌にはタバコがよく出てくる。『氷雨』のタバコの煙が目にしみただけと、捨てられた悲しい女のやせ我慢なセリフも心地よい。その真逆の世界で、タバコに火をつけてくれた人が今夜の恋なんて『北酒場』も粋でいなせな表現だな。

 

俺たち世代にはちょっとカンタンすぎるかもしれないが、タバコにまつわるこの曲名がわかるかな。やせ我慢の男は知り合ってずいぶんの月日が流れたのに手を握らない。その彼は喫煙者でシャツがヤニ臭いのだが、恋する少女はそれもたまらない様子。カンタンすぎますよね? 

 

こんな歌詞にあるように、タバコはかつてカッコイイ男のマストアイテムだったのだ。そして、呑み屋でつらい男を演じていた僕も今じゃ悲しい禁煙者だ。最新号の特集『男はつらいよ』のワンコーナーで綴った『タバコはつらいよ』での名ゼリフ「まだ吸っているヤツがいたら、そいつは勝ち組か、ろくでなしのどっちかだ」という名台詞が思い起こされる。あれれ、なんだか今日は最新号のPRに繋がったな、ナイスっ。

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1件のコメント

  1. ピンポ〜ン! わかった!

    亜無亜危異や横浜銀蝿的に答えると、
    『亜過異酔異斗否異』

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