電子出版EXPOにて考える。

もうずいぶんと時間は過ぎてしまったが、電子出版EXPOというイベントに副編小笠原と行ってきた。ちょっと前までデジタルパブリッシングフェアと名乗っていたもので、東京お台場のビックサイトは人であふれていて注目度は相当に高かったようだ。大メディアもずいぶんと取り上げていたし、大成功だっただろうな。

我々出版社にとっては大きな過渡期である。事実、前回のデジタルパブリッシングフェアでは震えるほどワクワクした。電子表現の新しいビジネススキームだったり、広告やスペースへの落とし込みとか、こりゃー、雑誌は変わるぞーってね。だが、今回は前回ほどの感動でなく、どちらかというと端末の展示発表会の色が強かった。

デジタルへの移行でよく音楽のスキームが出される。配信である。ところが先日、音楽業界の方と議論して知ったのだけど、これマーケットサイズとしてはまだ1,000億円にもほど遠いそうだ。さらに驚愕なのはCDのマーケットがピーク時の半分以下で、3,000億円を切ったとのこと。配信はまったく補っていないということになり、よくコピーが問題だという人がいるがこれは配信時代より以前だって、貸しCDショップやエアチェックといったコピーは行なわれていたのだ。極論してしまうと、音楽が売れなくなっているということだ。僕らもよく活字離れを指摘されていて、音楽同様に売れづらくなっている現状がある。

デジタル端末にたくさんの企業が参入してきて、より使いやすくなるのはうれしいことだが、果たしてどれだけのマーケットが創出されるだろうか? 大きなマーケットサイズになるイメージが現段階ではまだできない。せっかく参入してきてもおいしくなければ去って行くのは、企業であれば当然であるからいつの間にか寂しい業界になってしまう? そこで我々のような出版社がデジタル端末向けのコンテンツ開発や、ビジネススキームの創出に乗り出せばいいのだが、まだまだビジネスモデルが乏しく労力をかけづらい。これは大手の出版社や新聞社とて同じだろう。鳴り物入りでデジタル化したと大手新聞社は胸を張るが、本気でデジタル向けのビジネス開発とは思えないレベルですよね。現状の“配布”ビジネスと平行しながらしばらくやっていかなければならないという前提での、中途半端な力と予算投入だから、画期的なデジタル表現にならないのだろう。アメリカのデジタル成功の要因には、国土サイズに対しての人口が大きい。日本のように狭い国で、これほどまでに秀逸に作り上げられたインフラがある中に、どうぞデジタルは新しくて便利ですからと供されても、マーケットは大きな刺激なんか受けない。

と、色々と考えてみても、我々のようなコンテンツメーカーにとって方向性としてはありがたい。さまざまな業種から多くの投資がなされ、デジタル端末の可能性を模索してくれているのだから、我々なりの努力を積み重ねていき、来たるべき日に対応すればいいのだ。大きな問題は前述の通り、コンテンツそのもののマーケットサイズの縮小なのである。

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