ギブソン vs フェンダー。

ギブソンの経営悪化が報じられ、その最大の要因がロックの衰退としている記事を読んだ。ギターヒーローを目指す若者は減少の一途らしく、ギャンギャンと弾きまくるロックよりも打ち込みで組み立てる音の方がクールだということだ。ロック小僧からそのままロック親父になった僕にはさみしい話である。

エレキギターの2大潮流がギブソンとフェンダーで、そのままにギブソン派とかフェンダー派なんてことを議論したりできるほどだ。まずギブソンといえばなんてったってレスポールモデルとなる。レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジが低く構えたレスポールを弾く姿にしびれた。RCの『ベイビ−! 逃げるんだ』の歌詞にはロックを卒業するやつにはレスポールが重すぎたと、ロックとレスポールの関係を見事に表現している。ペイジ以外にもレスポールをカッコ良く弾くギタリストは多く、日本人でも鮎川誠さんが黒のレスポールを構えただけでロックそのものだ。そんなロックなギターなのだが、表面が美しい丸みをもって仕上げられていて芸術的な美しさがある。

一方のフェンダーの象徴といえば、テレキャスターとストラトキャスターに意見は分かれるかもしれないがレスポールに対抗するとなるとストラトだろう。ペイジに対してディープ・パーブルのリッチー・ブラックモアが武器にしていたことからもギブソン vs フェンダーとするのに適したギターである。レスポールの丸みの美しさに比べると、鋭角的なカタチであることも対決構図はバッチリだ。表現できる音は多彩で、グニャングニャンできるアームも戦闘力が高い。ジミ・ヘンドリックスがロックギター革命を起こしたのは、ストラトを駆使してのことだった。

僕のエレキギター史は中2に遡る。やっとの事で手に入れられることになり東京の楽器街、御茶ノ水へ出かけた。グレコのストラトコピーモデルを買うつもりで行ったのだが、楽器店でレスポールに変わったのはその美しさにやられたからだ。当時グレコが出していた一番安い定価45,000円のものだった。その日からは、ボディの丸みを眺めてはその美しさに女性を感じていた変態だ。その後、高校入試合格祝いでフェルナンデスのストラトコピーモデルを買ってもらい、今も現役で使っている。

やがてギタリストでなくヴォーカリストでやっていくことになり、すると断然テレキャスターになる。そしてブルースに魂を奪われるとギブソンのフルアコとなり、僕のコレクションはギブソン系とフェンダー系が入り混じるタイトルのような対立構図でない。

そんな僕が現在最も愛するのはこのテレキャスターで、こんな風にいつでも手の届くところでスタンバイしている。高校生の時に手に入れたこいつはトーカイのコピーモデルだが、10本ほどあるギターの中で1番愛している。かつてレスポールを眺めてはその美しさにため息をついていたように、焼酎を飲みながら眺めているとまるで良き相棒と一緒に過ごしているような気分になる。こいつは完全に男性キャラで、僕の中にあるロック魂をいつも刺激してくれる。安物ばかりのコレクションの中でもっとも安いのが僕らしいな。

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2件のコメント

  1. 自分はカラオケとカーステ(独身時代はホームオーディオも)以外では音楽との接点が無いのですが、中学時代からエレキギターを弾いていた兄貴のお陰で今回の記事にもついていけました。
    全く弾けませんが、私もチェリーサンバーストのレスポール、特に虎目が入っているものは本当に美しいと思います。
    サンタナや高中正義が使っていたヤマハのSGは、レスポールを知ったのが先だったのでなんだか鬼っぽいなと思ったことを覚えています。
    兄貴は国家に仕えるお堅い身になってからも、家族を養う長になってからも、エレキは手放さず今でも仲間とバンドを組んで弾らし続けているそうです。
    ロッカーは死ぬまでロッカーという拘りなのでしょう。
    自分は死ぬまでライダーでいたいと思ってますが、倒れたバイク起こせなくなった後のために、ギターやっときゃよかった…と、先日久しぶりに兄貴を見てそう思いました。

    • 今からでもぜーんぜん遅くないですよ。やりましょう!!

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