無力な自分。

大ケガを負った友人の見舞いに行ってきた。車いすに乗った彼は笑顔で僕を迎え入れてくれ、傍らにはカワイイ奥さんとまだ首がすわったばかりの息子がいた。

胸から下の感覚がないそうだ。それが戻るかもしれない時間が6ヵ月だと彼は言い、それを信じながら今は車いすで生活ができるための懸命のリハビリを続けていく。強さばかりが伝わってくるが、どれだけの苦しみを味わったかと考えると返す言葉が見つからない。僕に見せる笑顔の裏で流した涙の量のことを考えながら、彼の言葉に頷くだけだった。

胸がズキズキと痛い。無力な自分。不公平な運命。幸せの行方。思考がさまよっている。でも彼の真っすぐで強い瞳を信じるしかない。

「がんばれ」

当然ながらかけられなかった言葉をいつか届けたいと願う。そして想う。自分にもっともっと鞭打つことが彼の瞳と対峙することだ。無力な自分に今はそれだけしかあるまい。

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2件のコメント

  1. 頑張ってる人に「頑張って 」とは言えないよね。
    多分、思いは伝わってるかと。
    あなたですから。

    • ありがとうございます。
      以前、東北の取材でついこの言葉を使っちまって泣きながら後悔したことがあります。バカな俺です。

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