俺たち昭和のおっさんにとって、マンガの影響はとてつもなく大きい。今に比べると娯楽が少なかったから、自然とそこへの依存度が高かった。クラスの話題は、テレビと発売直後の少年誌に二分されるほどで、イキイキと描かれるキャラクターたちの行動から自分を練り上げていくこともしばしばあった。
そんな中で『跳んだカップル』の勇介は恋愛の教科書だった。カワイイ圭ちゃんとの気持ちのすれ違いにどれだけ感情移入したことか。杉村さんより絶対に圭ちゃんだろと、何度も何度も勇介をののしった幼い頃の僕だ。
覚えているだろうか。勇介が杉村さんと初めてキスを交わしてしまうシーンを。なんと高1の分際で酒の勢いを借りているじゃないか。しかも杉村さんの部屋でだ。2人で飲んだのはペンギンズバーでもカルーアミルクでもなくワインだった。高1の男女がワイングラスを重ねて、その力によって不純異性交遊がスタートしてしまうシーンが問題にならなかった時代を僕らは生きたのだ。これは人生にとって大きな恩恵と言っていいだろう。僕がもっとも愛するマンガ『気分はグルービー』でも高校生たちに酒とタバコは必需品で、どこまでもカッコよく描かれていた。
今やテレビドラマのタバコのシーンが問題になるご時世だ。どこまで脆弱になっちまったのだろうとおっさんは憂いてしまうばかりだ。自己責任や判断の尊重が崩壊しつつあるのを感じる。バイクの仕事が多い僕だから、よけいにそう思う場面が多い。ろくにメンテナンスしないくせにちょっとしたトラブルでメーカーを罵倒する。1度イベントで来場者をステージに上げて自分のバイクについて語らせたときに、まさしくそうした発言をしたライダーにこともあろうかステージ上で説教してしまったことがある。「バイクってのはなトラブルは付きものなんだよ。その対処さえ楽しむんだよ」と。いやいや、今どきのバイクはホントよくできていて、昔に比べたら故障は激減した。そんな背景を含めて僕は彼を強く諭したのだった。
世の中から強さと優しさ、しなやかさが失われていくのを仕方なしと思いたくない。って、勇介のワインでちょっと大げさかな(笑)。
私が昭和30年代〜バブル期ぐらいまでの「昭和」を懐古し、愛してやまない最大の理由がまさに述べられている点です。
>どこまで脆弱になっちまったのだろうとおっさんは憂いてしまうばかりだ。
>世の中から強さと優しさ、しなやかさが失われていくのを仕方なしと思いたくない。
いつもながら、的を射られた言葉に感服です!
私も全く同感です、流されたくないです。
親戚の引っ越しの手伝いとかすると、
終わった後とか、
苦い麦茶じゃ、飲んでみ!
と親戚の大人からビールを進められた時代。。。
昔はおおらかな時代でしたね!
そうですね。おもしろがって呑まされましたよね。我が家は元旦の最初の食卓で呑まされました。
高校1年の時に開催された中学の同窓会の会場は居酒屋で、制服着て平気で呑んでる奴もいたし、無論教師も参加していた(^。^;)
今やったら店主と教師はお縄になっちゃうね(笑)
いい時代ですよね。ホント今は窮屈で息苦しいです。