カッコ悪いカバンを持つ昭和40年男の悲哀。

約1年前のことだ。ひどい腰痛に苦しんでいた。パソコンを持ち歩くようになり、そいつが入った重いバックをいつも右肩に引っ掛けていたせいだと思っていた矢先、カタログギフトで3ウェイバックなるカバンを見つけてオーダーした。3ウェイとは持つ、肩にかける、そして背負えることからそう名乗っている。キチンと背負って歩くようになり、さらにこの後、習慣としてすっかり定着するぶら下がり運動のおかげで腰痛は劇的に改善した。あの苦しい日々が嘘のようである。

だがとてもカッコ悪い。カバン選びはファッションにうとい僕にしては凝った選択をしていたつもりだ。吟味して自分のスタイルにあったものだけを持ち、これまでの相棒たちはそれぞれに思い入れがある。修理にもキチンと対応してくれるブランド物を手に入れて、もう本望だろうというほどボロボロになるまで使い、なかなか処分できないほどに愛してしまう。しかし去年手に入れたこのバックにはなんの思い入れもなく、ただ物を運ぶためだけのツールで相棒なんて気持ちは微塵もない。人生におけるこだわりを、腰痛のせいにして1つ捨て去ったのだ。

写真 1-1つい先日、そのカバンが壊れた。カタログギフトの安物だから仕方ないと、僕らの青春を支えた丸井へ出かけてきた。あるある、3ウェイバックは意外と需要があるのかなと思わされる品ぞろえだ。だが、自分的にカッコいいと思えるものはほとんどなく、唯一ポール・スミスの物がましかなと何度も手に取った。4万円を超えるプライスカードにため息をつきながらもほぼ決めかけた時に「どうせこれだってカッコ悪いのだから安物でいいじゃん」と、自分の中にいる冷静なヤツが叫んでくれた。これに深く納得して、バーゲンプライスの6,000円ちょっとのコイツにしたのだ。去年のものよりは容量が大きくポケットも多くて便利で、使い勝手には満足しながら今日の初出社となった。

身につけるものがどうでもよくなってしまうのは、おっさんまっしぐらとなるよくない考え方だ。着るものや靴なんかも、少々無理をしてでもこだわった方がいいことは、50歳を過ぎてもカッコいい先輩たちから嫌ってほど教えられる。「男を捨てず、これからはむしろ磨け。磨きがいのある年齢になったのだから」とは、憧れの先輩からの言葉だ。でもね、腰痛対策だからカバンだけは勘弁してください、先輩。

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