大編集後記その参。阿木燿子さんが語った山口百恵さん。

取材に行った日にここに書いた時点では、まだ今回の特集を明かしていなかった。今回の特集で重要な1人であり、特集内ではちょっと変化を付けていただいた。

ご本人の魅力ももちろん女神様であるが、今回は彼女の紡ぐ詞の世界にいつも女神を見出したのだ、として、登場いただいたのだ。中島みゆきさんと双璧を成す、昭和40年男にとっては微妙な女心を教えてくれた師である。前回書いたときにもふれた、南こうせつさんが歌った「夢一夜」の詞から受けたショックは本当に凄まじかった。ラジカセにしがみつくように、なんとかその世界の意味を解析しようと努力した。今でも歌詞をすべて覚えているほど、聴き込んだのだった。

同じく、女の世界を教えてくれた詞に「魅せられて」がある。こちらのヒット時期は中1から2年生になろうという時期で、「夢一夜」のヒットから約半年を経ていた。女っつう生き物は、好きな男の腕の中で、ちがう男の夢を見るとの言葉が投げかけられた。だいぶ女心がわかってきた所に、そんなバカなことがあるのかーっと驚愕したものだ。当時のお茶の間もスゴい。こんなキワドイ詞を容認していたのだから。ちなみに余談ながらこのヒットの約1年前に、なかにし礼さんが作詞した「時には娼婦のように」がお茶の間を席巻した。両親と一緒に歌番組を見ながら、娼婦の意味も知らないのに「これいい曲だよね」と発言したところ、父母ともに回答がなかったのを子供心に「なにかあるな」と察知してそれ以上突っ込まなかったという団欒時間があった。そんなきわどい曲が横行していて、僕らはよく意味もわからず飲み込み、成長とともに知ることを幾度となく経験したのだ。「夢一夜」や「魅せられて」は、僕にとってそんな曲の代表である。

山口百恵

阿木さんといえば宇崎竜童さんとのコンビで山口百恵さんのヒット曲を数多く世に送り出していて、獅子座の僕としては当然ながら「乙女座宮」がベストナンバーだが、この曲は阿木さんが百恵さんに提供した中では珍しく素直な女である。「プレイバック part2』や「絶体絶命」、「美・サイレント」など、百恵さんの個性を炸裂させた曲が多い。後期の「謝肉祭」と「ロックンロール・ウィドウ」あたりは、彼女にしか歌えない曲だ。

もうひとつ阿木さんの詞で特筆すべき現象が、キャンディーズと山口百恵という、僕らの時代を象徴する2大スーパーアイドルのラストナンバーを書き上げていることだ。「微笑みがえし」と「さよならの向こう側」である。本当に偉大な作詞家であり、その世界に存在する女たちは昭和40年男にとって魅力的な女神ばかりである。そんな言葉の魔術師が今回のインタビューで、山口百恵さんを評するスゴイ言葉を紡いでいる。これは発売日を楽しみにしていてほしい。

1件のコメント

  1. 今日のラジオ、トークとても楽しかったです。学校の先輩が楽しく話してるのを脇で聞いてるような感覚でした。

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