大編集後記その参。松田優作さん。

やっぱりそうきたかと、ほとんどの昭和40年男がそう思ってくれたのではないだろうかと自信たっぷりの僕だ。

「なんじゃあこりゃあ」と倒れ込んだ優作さんに、皆さんは当時どんな感情を持っただろう。恋人との幸せ絶頂期に、自分が助けてやったチンピラに撃たれてしまう。それまで見たどんなシーンとも異なる、惨めな最後がグサリと突き刺さってきて、子供ながらに男の死ってなんだと考えさせられた。ドラマの中でのことなんだと自分を落ち着かせることが困難に感じたほど、凄まじいまでの感情移入をしてしまった記憶が残っている。後になって知った、数々の殉職シーンは本人がアイデアを出すそうだ。自分に置き換えて考えてみる。懸命に演じている役で、そのキャラの死に様を探すことは自分そのものが入り込んでいくのではないだろうか。どうあれ、優作さんはあのシーンを選んだことになる。

優作さんによって男を考えさせられたは、『探偵物語』の工藤ちゃんもしかりでシビレまくった。整ったカッコよさでなく、隙のあるカッコよさを、僕らは中坊にして感じ取ることができた。その影響ったら計り知れない。工藤ちゃんによって、将来ベスパとキャメルを手にすることを心に誓った。もしも工藤ちゃんが愛用してなければ、後のベスパとキャメルの価値は変わっていただろう。僕らが高校生になって手に入れた、国産激安原チャリスクーターのことをバイクと呼べたのは、工藤ちゃんのおかげかもしれない。また、今だったら大問題になるだろう、火柱ライターもたまらなかった。背伸びを始めた中学生たちは、改造ライターの開発に余念がなく、その炎を競い合いながら前髪を焦がしたものだ。昭和40年男が背伸びをしたがった時期に、工藤ちゃんの活躍がシンクロする。

今回の特集を思いついた瞬間に浮かんだのは、優作さんであり工藤ちゃんである。だからそのまま、8人の中で優作さんを表紙にした。僕が中坊の頃に工藤ちゃんにふれられたことを、心から幸せに思っているから。男ってのはピリリと辛口で、ちょっぴり粗暴でありながら心優しく、ペラペラとおしゃべりなんかしない。うむ、こう書きながら憧れと現在の自分に大きな違いがあることに愕然とするが、影響を受けたことには違いない。感謝の気持ちをこめての表紙登場であり、今回の特集ではトップバッターだ。

さあ、書店と今回よりコンビニで、皆さんとの勝負が始まるまであと5日となった。なんだか長いなあ。

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2件のコメント

  1. ちょうどいま地方局チバテレビにて「太陽にほえろ!」ジーパン編(?)を放映中!
    燃えます。

    • だったら今号は千葉方面で売れるかもしれない。ラッキー!!

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