第2号の制作現場を振り返る。〜マンガ家と担当編集の現場回想〜

この3月に発行した第2号の巻頭特集『タメ年たちのリアル』では
昭和40年男が過ごした 昭和50年 (1975年… 小学4年生の頃) を振り返る企画を掲載した。
(この企画は連載します。次号以降もおもしろい年を取り上げるのでご期待ください。)
この中でマンガ誌をフォーカスして取り上げたいという意見が出て
当時もっとも元気だった『週刊少年チャピオン』の人気の秘密を探ろうということに。

発行元である秋田書店さんに相談すると快く引き受けてくれ、
取材には当時編集部員としてがんばっていた山田さん (現・編集長代理) が担当してくださった。
(この方メチャメチャいい人で、いろいろ教えていただきました)
顔は出したくないということでメインカットの背中で登場してくれている方だ。

取材は当時山田さんが担当していたマンガ家と一緒にインタビューを、
ということになって紹介していただいたのが
『750ライダー』の著者である石井いさみ先生である。
『750ライダー』といえば、ホンダ・CB750Fourを駆る青年・早川 光の青春を描いた大ヒットマンガだ。
これも昭和50年にスタートした作品である。

インタビューの現場ではいろいろな話に花が咲いたのだが、
お二方に話を聞いていて、マンガというのは本当に想像どおりの世界だったことを知った。
徹夜で原稿を待つという仕事に、どんな意味があるのか?
こういった殺伐とした世の中になってしまうと、
そんな大切なことの答えが出せなくなってくるのだろうな。
まず、そんなことを強く感じさせられた、かつてのコンビの会話だった。

作家を育てる編集サイドの器量とか熱量に対して
貧乏だけど志の高い作家たちというすばらしい関係が、
ああいうテンションの高い作品たちを生みだしていった…
そんな現場の話を聞けたことはうれしい。

いい時代と片づけてしまうにはもったいない。
人と人が真剣に顔をつきあわせるからできるものをもう一度見つめ直して、
そこに今のインフラとかシステムとかが絡んでいけば、
きっといい方向に行くのではないだろうか。
なんて、この日の担当は撮影だったので、インタビューの内容を楽しめる立場だ。

インタビューで強く印象に残ったのは、
本誌のショートインタビューに掲載したとおり “何も起きない一日” というセリフ。
高校生がバイクに乗るという、憧れが強かったせいか
刺激的なマンガと思っていたけど、そんな想いで書いていたのかと。
「委員長、さぶいですね」
うーん、確かにこのセリフは何も起きない一日を真剣に考えて作り込んであるなぁ。

取材は、先生の仕事場のとなりにあった何気ない喫茶店で行われた。
まるであのマスターが出てきそうな、当時にタイムスリップしそうな店だった。
まるで何も起きない一日を過ごせそうな、そんな店だった。
 

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