大編集後記その五。幻の企画。

発売が明後日に迫った。今号はどんな動きをすることやら、何冊つくっても不安が消えることはない。先週の金曜日に刷り上がって全国へと旅立ち、今頃は倉庫で眠っている僕の分身たちよ、いい夢見ろよ。

すごくくやしいボツ企画がある。先日も書いたが、今回の表紙にFMステーションの表紙イラストで、僕ら昭和40年男にはお馴染みの鈴木英人さんにイラストを書いていただきたいとのアイデアが浮かんだが、これは予算的に吹き飛んだ。諦めたこの少し後に、今回の表2(表紙の裏面)の広告に、タメ年DJの監修によるコンピアルバム『ENDRESS BLUE.』が入った。さすがわかっている、ジャケットは鈴木英人さんによるものだ。雑誌の表紙もアルバムジャケットも、僕ら世代にはバッチリということだ。そしてひらめいた。そのジャケットイラストだったら借りられるのではないかと? ジャケットと同じイラストに雑誌用の文字をのせるわけにはいかないが、これだーっと手を叩いたアイデアはこうだ。

FMステーションの表紙イラストは、そのままカセットレーベルになっていたのをきっと皆さん覚えているだろう。6面ついた中のひとつが、表紙から文字を取ったもので彩られていた。これの復刻パロディである。ジャケットイラストを使わせていただき、加えてこれまでの『昭和40年男』の表紙から文字を抜いたビジュアルでレーベルにするというもの。グッドアイデアに盛り上がり、広告担当の方に興奮しながら電話を入れると、彼はちょっと歳上ながら感覚は理解してくれ「うわーっ、スゴイアイデアですね」と先方に掛け合ってくれたのだった。ずいぶんと折衝してくれた様子で恐縮しきり。加えておもしろい企画だと、一肌脱いでくれたその行動がうれしかった。そして返事を待つ間に僕の方では『昭和40年男』からどの表紙を選んでカセットレーベルにするかで盛り上がっていた。

決定したのは、ウォークマン、チャリンコ、キヨシローさん、ジョー&力石で、加えてロゴマーク単体でいくことにした。これでちょうど6つでばっちりである。読者さんたちはきっと腹を抱えて笑ってくれる。カセットテープを楽しんでいる方もまだ多いようだから、使ってくれるかもしれない。いや、貴重で切り取れなかったかつての想い出がフラッシュバックするかもしれない。などとワクワクしながら返事を待った。結果はどうにも難しいとの電話を受け、泣く泣く断念した幻のページになってしまった。明後日皆さんの元とへと届く『昭和40年男』の裏側には、こんなにすばらしいアイデアが消えてなくなっているのを思い出してくれ。ちょっと残念な本日の大編集後記でした。

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