ビリー・ジョエルのおもひで。

洋楽の扉を開けたばかりの 中1にとって当初、最もわかりやすい情報源が『ダイヤトーン・ポップス・ベストテン』だった。オープニングのあのかっこいいサウンドロゴを記憶している方は多かろう。文字にすると、♪ダ〜〜〜〜〜イヤト〜〜ンくらい引っ張ってから、ポップスベストテンと畳みかける見事な仕上がりだった。続いて軽妙なサウンド、そして、かっこいいサウンドロゴも続いたサウンドも前座だったと思わせるほど素敵な声のミスDJは、シリア・ポールさんだった。土曜日の午後2時はラジカセの前でものすごい集中力でラジオを聴いていたっけ。

 

この年の途中から聴き始めた番組だったから、暮れにプログラムされた年間ベストテンは全曲録った記憶がある。1位はクイーンの「イッツ・レイト」で、これはなんともクイーンびいきの日本らしいと言えばいいか、それとも番組リスナーの仕業なのか分からないが、まだ知識のない僕はこの曲を好きになろうと努力した。なんてったって年間1位なのだから。が、長尺の大曲ゆえ放送では途中で切られていて、聴くたびに寂しい思いをした。少し後に収録アルバムの『世界に捧ぐ』を手に入れてフルコーラスを聴いた時の感動は、『ダイヤトーン・ポップス・ベストテン』小僧ならではだと言っていい。

 

この年間チャートに「クイーン」は2曲をぶっ込んだ。同アルバムに収められ、どちらかと言えばこちらの方が1位で納得しそうな「伝説のチャンピオン」で、確か5位くらいにランクインしていたはずだ。そしてこの放送で3位 (ビー・ジーズの「恋のナイト・フィーヴァー」が2位、逆だったかなあ?) を獲得したのが、ビリー・ジョエルの「ストレンジャー」だった。後の「マイライフ」とともに大好きで、収録されたアルバム『ストレンジャー』と、「マイ・ライフ」収録の『ニューヨーク 52番街』はいつも買い候補に入れていたが結局購入には至らなかった。

 

時が流れて、中3の時にリリースされた『グラス・ハウス』が最も手を出しそうになったアルバムだ。シングルカットされた「ガラスのニューヨーク」(邦題のマジックですな) が『ダイヤトーン・ポップス・ベストテン』で大暴れをして、それまで以上にビリー・ジョエルが好きになった。だが結局これも見送ったのだ。当時のFMでは新譜の発売前に多くの曲をビックアップしてくれる番組がちょこちょことあり、『グラス・ハウス』もその対象でオンエアされた。これらの番組を録音して聴き込んでしまい、結局買わなくなったことが多々ある。発売延期になったチープ・トリックの『ドリーム・ポリス』も絶対に買うはずだったが、ほとんどの曲を飽きるほど聴き込んでしまった。2大かわいそうなアルバムである。

 

この「ガラスのニューヨーク」の弾き語りバージョンを作り込んだ。聴いていい曲はやはり歌って楽しい。あの日、夢中になった中3の自分が、40年以上を経て「浅草秘密基地」で歌っているのだ。なんともやはり人生ってララだなと思いながら、参加者たちにこの曲を知らない者がいないのがすごい。ビリー・ジョエルはマスで人気のあったシンガーなんだなと、今更ながら感心している。あっ、どうぞ毎週月曜日の読者の集い、「浅草秘密基地」にいらっしゃーい、ってそこか!!
 

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