あたたかい蕎麦の季節が到来。

「今年はあったかいねえ〜」なんて言葉が交わされる東京で、まだコートは羽織っていないだ。今日よりの出張も迷ったが、厚めのジャケットで飛ぶことにしたほどだ。が、やはり冬の到来には違いないのでそれを満喫したい。冬の味覚といえばふぐやクエ、大間のマグロ…な〜んて贅沢はできず、それでも庶民なりの楽しみはある。新そばの張り紙が出る秋は冷たいそばで楽しむが、もういいだろう。通年もりそばしか食わねえよというそばっ食いの方もいらっしゃるが、僕は温そばも大好きだ。江戸の粋を気取りたい気もするが、そばを前に痩せ我慢はしない。

 

写真のこいつをすする。心から暖かくなれるほどのやさしい一杯なのだ。浜松町が誇る老舗そば屋で、このつぶやきの常連店でもある「布屋更科」の親子かきたま、950円である。江戸時代から続くこの店は、そこにあぐらをかかない姿勢が好きだ。若干高めではあるが、それでもバーコードもりそば1,000円とか、そばのメッカ長野県の方々が見たら腰を抜かすような店ではない。ちなみにもりは600円だから、座って食べる一般的なそば屋より100円くらい高いかなあという感じだ。この一杯も800円くらいだったらいいなあってか。あー、なんだかみみっちい話だな。

 

が、この店は月曜日と雨の日は大盛りが無料になる (うわっ、さらにみみっちい・笑) 。大盛り代金が150円だから、するってえとこの一杯が950円とはしっくりとくるじゃないか。もりも600円で大盛りならば合点がいくぜ。てなわけで、つい先日の寒い日に今年の初もの (!?) となる親子かきたまそばをいただいてきた。「はあ、年の瀬だなあ」なんてざわざわしながらもリラックスできるひと時を味わえ大満足だった。

 

前述した、老舗の看板にあぐらをかかないというのがこの一杯にも詰め込まれている。“親子” なのだから当然ながら卵と鶏肉となる。どうしたらこんなにふわふわに仕上がるのだろうという卵は、老舗らしい技を感じさせてくれる。ポイントは鶏肉だ。出汁で普通に炊いたのでなく、ぬぁんと唐揚げにするという手の入れようなのだ。大きめのが2個入っていて、これがうまくてうまくて休みの日だったらビールをいただきたいほどだ。てなわけで、浜松町においでいただいたら暖簾をくぐってみてはいかがだろう。味の好みは分かれるだろうが、老舗の努力はきっと学べるはずだ。
 

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