チャーリー・ワッツ追悼の夜。

昨夜はこいつで酒に泳いだ。数あるストーンズの映像ライブラリーからこれをセレクトしたのは、1998年のライブだからだ。ミックとキースが55歳で、チャーリーが57歳を迎える年だからつまり、現在の僕から見てチャーリーが1コ上、ミックとキースが1コ下というほぼタメ年男たちのライブで、やんちゃな末っ子のロンも51歳である。ちょっと脱線すると、フェイセズの「ステイ・ウィズ・ミー」はロン・ウッドのギターでもっとも好きな曲だ。とくにライブ盤でのプレイはまさしく「ごっきげんだぜ」なので、ご興味のある方はぜひっ。

 

ストーンズのメンバーはなんでこうまでスリムなのかと思うほどで、無駄な贅肉を嫌う彼らの音楽とピタリとシンクロする。4人とも本当にかっこいい同世代だった。ミックの薄い腹を見ていると、自分の体型が恥ずかしくなる。そしてよく走るしよくケツを振っていて、かっこいいったらない。そしてキースは、少しキュートな仕草を見せるのがたまらない。やはり同世代と思えない男だった。

 

そして昨日においては主役のチャーリーだ。淡いブルーのポロシャツを着ているのは、1コ上のおっさんとうなずいたりしたが、ドラミングは元気そのものだ。2時間のライブを最後まで余裕で叩ききっている兄貴のかっこいいこと。そっぽ向いてクールな感じがたまらない。

 

このライブで楽しいコーナーは、突然現れる巨大な橋を渡って狭いサブステージに渡っての演奏だ。ここで聴ける「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」のドラムは「いよっ、チャーリー」ってな掛け声が出ちまうほど痛快である。メインステージよりもこちらのミキシングや音質の方が好きで、続いて演奏されるボブ・ディランの大名曲「ライク・ア・ローリング・ストーン」は泣けてくるほどいい。そして再度メインステージに戻ってからは大ロックンロール大会で、「悪魔を憐れむ歌」「タンブリング・ダイス」「ホンキー・トンク・ウィメン」「スタート・ミー・アップ」「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」で一旦幕を閉じる。アンコールでは、黄色のシルクのシャツに着替えたミックがこれまたスゲーかっこよくて、バラードを1つ挟むのも憎いねえと「無情の世界」が聴ける。そして大ラスはキースが斬りつけて始まる「ブラウン・シュガー」で、“ああ、お腹いっぱい” で鑑賞を終えた。

 

終えるとやはり、もうこの演奏が聴けないのだとさみしさがあふれてくる。やはり、チャーリーはすごいドラマーだったし、いなければストーンズは違うバンドになっていただろう。2019年がチャーリーにとってラストステージだったそうだから、78歳まで現役だったということだ。おそらく昨日観たライブからなんの衰えもなく叩ききったことだろう。長い長いロックロール人生は本当にお疲れ様でした。ゆっくりお休みください。ありがとう、チャーリー!!
 

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