【ヴィンテージアロハシャツを学ぼう … #3】投票で1位に選ばれたランド・オブ・アロハ。

ヴィンテージアロハシャツの起源と歴史 (その3)

ヴィンテージアロハシャツの復刻を手がけるサンサーフが所蔵する、歴史的な価値が高い貴重なヴィンテージコレクションから7つのアイテムを厳選。それぞれが残した功績をとおして、アロハシャツの奥深いヒストリーをひもといていこう。
 
(『昭和50年男』本誌 2021年 9月号/vol.012 掲載
 “ファッション狂騒曲”「アロハシャツのカルチャー徹底解説」より 抜粋 )
 

[前回]
【ヴィンテージアロハシャツを学ぼう … #2】
 日本の反物でオーダーしたシャツが始まり。

 


 
今もアロハシャツの王様に君臨。

ブランド名: ハレ・ハワイ
所蔵:サンサーフ (東洋エンタープライズ)

 
アロハシャツの代名詞として語り継がれるランド・オブ・アロハ

こちらは1956年の作品で、ハワイで最も古い衣料品製造会社、ハワイ・クロージング・マニュファクチャリング社から派生したハレ・ハワイ社のもの。「ランド・オブ・アロハ」と呼ばれる今作は、ハワイ州政府が2001年にキング・オブ・アロハシャツを決める投票を住民に行った際、位に輝いている。

▲ハレ・ハワイ社は、本土のデザイナーをハワイに招き、多様なカルチャーを体感してもらってから柄を起こすというワークフローで独自の柄を誕生させていった
この柄は、なんと21枚もの版を摺り重ねてハンドプリントされている

 
1950年代、アロハシャツ黄金期に爆発的人気の名作が誕生

第二次世界大戦が終わって、1950年代を迎えると好景気の波に乗って米国本土から観光客がハワイに押し寄せた。当然ながら、旅の思い出として本土に持ち帰る土産品としてのアロハシャツ需要も増大した。アロハシャツ黄金期の到来だ。

この輝かしい季節の幕開けとなった1950年に創業したのが、ハレ・ハワイ社。同社は本土のデザイナーをハワイに招き、長期に渡って現地で生活してもらい、多様なカルチャーを体感してもらってから柄を起こすというワークフローで独自の柄を誕生させていった。そうして生まれた柄は、本土から訪れた観光客の目線と同じものであり、大いなる共感を呼んだ。今でもアロハシャツの代名詞として語り継がれる「ランド・オブ・アロハ」は、配色のパターンが17種類も存在する。これはまさに、売れに売れていたことの証と言えよう。実はこの柄、なんと21枚もの版を摺り重ねて壁縮緬 (※1) と呼ばれるレーヨン製の生地に手捺染 (※2) されている。

いくつもの色を重ねて摺り、最終的にひとつの柄を表現するオーバープリントは日本の職人が継承してきた技術の結晶だ。1950年代に日本でプリントされた生地が海を渡り、ハワイでシャツに仕立てられ、現地やアメリカ本土で愛された。そして、時を経た現在においてもハワイの住民投票でキング・オブ・アロハシャツに選出されている。
 
 
※1 … かべちりめん=糸そのものが凹凸の表面をもつ壁糸を使って織り上げることで、生地に表れる独特のシボ感が特徴。1930年代から1950年代にかけて作られた和柄のヴィンテージアロハシャツにはレーヨン壁縮緬生地を用いたものが多く見られる。
 
※2てなっせん=プリントに使う色の数だけ版を作り、手作業で版ずつていねいにプリントしていく手法。繊細で美しい絵柄を表現できるが、熟練の技術を要する。
 
 
→ 次回 (その4) へ続く
 
 
取材・文: 國領磨人  撮影: 西谷圭司  取材協力: 中野喜啓 (サンサーフ)
 
掲載アイテムに関するお問い合わせ: 東洋エンタープライズ
 


  
 8月11日(水) より発売中!『昭和50年男』2021年 9月号/vol.012

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