大滝詠一『A LONG VACATION』で作った表紙。

先日すげー表紙を発表したからというわけじゃないけれど、僕ったら2014年の1月にこんな表紙 (vol.23) を作っているのだ。最近『昭和40年男』を知ったという当時を知らないあなたのために、今更ながらこの傑作表紙の解説をさせていただこう。

 

昨今のシティポップブーム前夜のことだ。やや来てるかなという流れはあったものの、今のような喧騒ではなかった。そしてこの特集を組んだのはそんな流れに頼るのではなく、純粋に昭和40年男にとって重要なジャンルだったからである。女の子のことを本格的に意識する狼になった俺たちに、シティポップの世界観は教科書のように機能していた。カセットテープに収めて、“決めてやる今夜” なドライブでカーステから流した。って、バイク免許しか持っていない僕にその経験はない
が (泣) 。俺たち世代と密接なジャンルでありながら、ハマる年齢層のベルトが狭いから世代感の強い誌面構成ができた。

 

ご存知傑作中の傑作であり、日本史上のポップスアルバムの中でもトップランクのクオリティを誇る『A LONG VACATION』をモチーフにした… というよりパロった表紙 (もちろん許諾をいただき) である。昨今の大滝さんブーム下だったらNGだったかもしれないし、行けたとしたら先日発表の表紙同様大騒ぎになったことだろう。事実、当時も大きな話題になったし、この本はいいセールスを記録した。

 

『俺たちシティポップ世代』というタイトルで、これぞというアルバムがもう1枚、山下達郎さんの『FOR YOU』である。が、どちらかと言えば印象に強いジャケットデザインが『A LONG VACATION』ということで着手した。特集では巻頭でこの傑作アルバム2枚を徹底解剖した。丁寧な全曲解説付きだ。この号は早々に売り切れてしまったが、再掲載した総集編はまだ在庫ありなので、この号をお持ちでない大滝さん、およびシティポップファンのみなさんは購入してはいかがだろう。昨今では、シティポップを熱心に研究する若者も多いから、きっとバイブルになるぞ。

 

ジャケットと見比べていただければ、しつこくしつこくパロっている僕らの執念をきっとご理解いただけるだろう。明後日発売となる『我が心の梶原一騎』とはまるで世界観が異なるものの、おもしろさでは甲乙つけがたい。僕に取っては作品と呼ぶにふさわしいけど、そんな偉そうなことは言ってはならない。僕の仕事は火のないところにモクモクと煙を立てることなのさっ。で、週明け発売の表紙はこれだっ、モクモク!!

 

 

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