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11歳年上男の仕事人生。

2016 年 6 月 10 日 プロデューサー コメント

兄貴のような存在の料理人が経営するイタリアンレストランに、久しぶりに出かけてきた。彼の皿にはこれまで数々の感動をいただき、食で涙が流れるのを初めて経験させられた。料理の奥深さを教えてくれた大恩人である。まだイタめしなんて言葉は無い、スパゲッティの時代に本場で修行して日本に紹介し続けた。ブーム時にはいくつかの有名大ホテルで腕を振るった。そんな兄貴が最後の店になるだろうと小さなレストランをオープンさせたのは2010年のことで、順調に営業を続けていたのだが…。

 

 

「体壊しちまったよ」と、確かにやつれた感じがした。そして「7月いっぱいにしようと思っている」と聞きたくないセリフが投げられた。でも病状を聞くと仕方なしで「ここをオープンしてずっと休んでこなかったから、入院でゆっくりするよ」とのさみしいセリフにただ頷くのが精一杯だった。閉店が近づいてモチベーションが上がらないと言うが、そのセリフはカッコつけているだけで、いつも同様のすばらしい料理の数々が店をたたむ事実と相まって涙を誘った。

 

 

カネロニこの一皿は初めて食った料理で、カネロニという兄貴いわく「イタリアの家庭料理で、あまり出す店はないだろうな」とのこと。ラザニアのようなパスタで、牛のミンチ肉と粉チーズを練って棒状にしたものを包んでオーブンで焼いたものだ。チーズとホワイトソースが絶妙でうまいうまい。50歳を過ぎたおっさんに、またも“初めて”を経験させてくれたのだった。

 

 

メインにはポークのローストが出てきた。謎掛けのような味付けがしてある。「ああ、この人に僕の舌はずいぶん鍛えてもらった」と心でつぶやきながら、何度も何度も首をひねった。その隠し味は和の調味料だと僕なりの見たてをぶつけると「バッカ、そんなの死んでもやらねえよ」と一蹴されてしまった。そんな問答をできる料理人が1人減ることになる。うまい料理で満腹は最高の幸せなはずなのに、なんともさみしい夜だった。そして噛みしめた。俺たちにも必ず引退の日は来るのだ。今を突っ走ろう!!

 

 

 

 

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