懐かしの味。仕掛けはケチャップ?

『浅草秘密基地』が開催されているショットバーフィガロの近所に、古き良き中華料理店がある。裏通りにひっそりと佇んでいる、白いのれんに赤い文字で中華料理と大書された、昭和丸出しのあのパターンの店だ。半ちゃんラーメンを頼むと、もうベタベタに昭和味のホッとするセットを食える。いつもほとんど客はいなくて、たまに親父さんが出前に出て行く姿を見る程度だ。今週の月曜日のこと、お決まりのオーダーをしようとすると、半チキラーメンなるメニューを見つけニヤついた僕だ。この半チキって何だと思います? 半ちゃんに対して半チキなんだから、昭和40年男だったらピンと来るはず。親父さんに確認することなく、粋に決めたよ「半チキラーメンをください」ってね。待つこと数分、出てきたのは思ったとおりでオレンジ色の憎いヤツ、チキンライスだ。ケチャップの甘みがたまらない。少量の鶏肉もご愛嬌の一皿を、昭和味の醤油ラーメンといただけば、もう小学生の頃にタイムスリップだよ。あー、うまかったと店を出たのだった。

場所を変えて、我がオフィスのある浜松町駅の敷地内。わりと最近のこと、飲食店が軒を並べるスペースができた。讃岐うどんの店と、イートインできるタイプのパン屋さん、そしてショットバーが並ぶ。讃岐うどんはサクっと食べられて使い勝手がよろしく、たまに世話になる。その隣、ショットバーがランチを始めたのだが、これが昭和40年男には気になるメニューなのだ。ナポリタンとミートソース、そしてなぜかカレースパなる3種のみで、サイズをそれぞれ3種類選べる。並でも400グラムとメニューには普通の大盛り級であると書かれていた。昼時はいつも込んでいて入る気になれないのだが、今日は打ち合わせ帰りで微妙にピークタイムとずれて空いていた。つい先日のチキンライスに感動したこともあり、入店してみたのだった。そのとき僕以外の客は3人で、たぶんみな僕より年上の男性である。その後も続々とちょい上世代の方々が入れ替わりで入ってくる。回転がいいのは、ゆでたてじゃないから出てくるのが早く、ひたすらすするだけだから完食時間が短い。全部で10人の客と遭遇したうち完全な年下は2人で、彼らは上司に連れられてきたという構図である。それにしても昭和のオヤジたちはスパゲッティ好きなんだね。パスタじゃなくて、アルデンテなんて言葉も完全無視した、銀の皿にこんもりと盛りつけられたアレだ。

先日のチキンライス同様、一気に小学生に戻らせる懐かしい味に感激した。他のオヤジたちも、ひたすらフォークを口へと運ぶ。中にはラーメンのようにズルズルやっているのも許せてしまうほどの、昭和空間となっていた。こうしたより戻しが増えているのは、そのまま人口ピラミッドの変化で、ボリュームゾーンがドンドン上がっているから。加えて、お金を使える独身若者が減ったのも大きいですな。それと、増え続けるチェーン店の展開に対して、隙間にもなっている。まあ、言ったらここもチェーン店だが、ターゲットをまっすぐに昭和狙いにできる、小規模の店舗サイズだから可能だったのだろう。で、飲食店経営者様に提案です。『昭和40年男』とコラボして、昭和の飲食店を展開しませんか? きっと繁盛しますよ(笑)。

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