ウォークマンには手が届かない 〜大編集後記。

 

最新号のPRを続けさせていただく。今日も元気に大編集後記だーっ。

 

今回の特集は時系列で、地団駄踏みならして欲しがったモノたちを並べた。昨日まで解説させていただいた小学生時代を想定した第1章に続いて第2章は “切ない幻想に悶えるマセガキ” とくくって、毛が生えてきた頃のローティーン時代へと突入する。デジタルウォッチを皮切りにして、次に登場するのがご覧のページだ。ウォークマン&ステレオラジカセは、まさに欲しがっても欲しがっても手の届かなかった諸氏が圧倒的多数だろう。僕ももちろんそんな1人だった。

 

僕の家は電気屋を営んでいたから、電気製品には恵まれていてもよさそうなものだがこれが違う。冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなどなどのお袋が家事に使うツールは新品に手を出すが、テレビやこうした音響機器はすべて下請け品である。親父を手伝い新しいテレビを納品する。「奥さん、古いのどうしますか?」と親父が聞くと「引き取ってください」となることがしばしばあり、そんな中で状態のいいものは居間に鎮座するのである。てな具合なんで、リモコン付きのテレビなんざ夢のまた夢だった。

 

おっと、脱線ゲームしちまったぜ。テレビがそんな調子なのは、いくら商いしているからといって卸値で購入するわけだからそうやすやすとは手を出さない。ましてや音響系は、おもちゃと一緒であくまで嗜好品になるからハードルが高くなる。たまーにステレオやラジカセの下取り品が出ても、ものすごく古いタイプだ。店の棚にはこのページでも紹介されているシャープのラジカセ、「ザ・サーチャー」が並んでいるのに、僕が使用しているのはモノラルラジカセが高校時代まで続いた、トホホ。

 

それにしても「ウォークマン」は偉大だ。これによって音楽との向き合い方が激変した。パーソナルな音空間はそれまでせいぜいラジオだったのが、コイツによって一変したのは言うまでもない。歩きながらというのがおしゃれに感じられ、音楽を聴くこと自体がナウでヤングな趣味に変わり、同時に音楽マーケットが肥大化する。ソニーってのは俺たち世代にとって、人生に多大なる影響を与えたメーカーと言っていいだろう。こんなハードを作りつつ、ソフト、つまり音楽そのものを常にプロデュースしてくれたのだから。ありがたや、ありがたや。で、やはりみなさんこのページを見ながら、あの日手が届かなかった想い出を噛み締めていることだろうな。

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