またも失った俺の昭和。

昨日のことだ。12月に突入したことだし、久しぶりに昭和なそば屋で昭和なもり&カレーセットを決め込もうと、おそらくこの10年以上にわたってランチ利用頻度ナンバー1のお気に入りの店へと向かった。すると写真のような悲しいことになっているじゃないか。「ぎょえーっ、お前までがなくなってしまうのか。しかもよりによって新そばの時期にたたむなんて、なんてこった」と心が叫んだ。

 

先週の金曜日がラスト営業だったと貼り紙に書いてあった。まず先週来なかったことを激しく悔いた。普通にうまいをこよなく愛する僕が、その最高峰のひとつだと思っているそば屋だった。僕の会社の街には3軒の昭和なそば屋があり、どれもそれぞれのよさがあり、このつぶやきにちょくちょく登場する。今回なくなってしまった店は、シャッキリと硬めに茹で上がったそばとしょっぱい出汁が魅力だった。そのもりにセットされたミニカレーライスは、グリーンピースが乗っかった本格派(!?)だ。このカレーにもりの出汁を混ぜこんで下品に頬張れば、一瞬にして昭和へとタイムスリップできる。本当によーく通った。

 

夜は呑んでいる客が多く、締め切りの合間に訪れるとうらやましく眺めてはいつか1人で夜飲もうと思っていたのだが、なぜだかそれを実現させなかった10余年である。閉店となるとこれもまた悔やまれる。

 

夫婦とそのお母さん、元気な2〜3人のパートのおばちゃんで忙しいランチをさばいていた。何年か前から息子さんが厨房に入るようになってお母さんは引退した。おかみさんに「いい跡取りができましたね」というと、ものすごく嬉しそうに微笑んだのが忘れられない。おそらくこのご夫婦は僕と同じくらいだと思われる。息子さんの将来や、自分たちの生活を考えれば今店をたたむという選択は難しかっただろうことは容易に想像できる。

 

コロナ後にはランチ時のおばちゃんが1人、また1人と減っていき、ついには家族3人で回していた。が、それさえも限界だということなのだろうか。ともかくコロナの影響であることは間違いないだろう。なんだか喪失感がハンパなく、昨日の昼より何度も何度もあのシャッキリしたそばと濃い出汁、そしてカレーライスを思い出している。昭和な寿司屋昭和なスナック、そしてこのそば屋までが奪われた令和2年だ。昭和なおっさんの楽しみをこれ以上奪わないでくれーっ。

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