切手収集のおもひで。

俺たちは収集癖世代だ。これは日本が豊かになっていく過程の中で育ったことが大きく、時代に感謝すべきである。が、無駄な投資をたくさんしてきたことも否めないうえ、病的な癖として精神に染み付いている同世代諸氏が少なくあるまい。それは大人になった今も変わらず、さぞ悩んでいることだろう。

 

仮面ライダーカードから始まった僕の収集アイテムは、その後メンコやベーゴマ、プロ野球カードなどなどキリがなく僕を襲った。そして小学生の高学年になると、切手収集にハマった。当時は、大人たちも投資目的で記念切手を求めて郵便局に行列を作った時代だ。今となってはその処理に困っているなんて話も聞くが、当時は僕の両親もわりと本気だった。シートで買った国宝シリーズなんて誇らしげに缶に収まっていたものだ。

 

親父に舞い込んでくる封筒から剥がすことで、この趣味が始まった。やがて知ったのは、駄菓子屋で使用済みの切手を10円とか20円とかで引く、当たり外れが激しかったものがあり、夢をみては騙され続けた。さらに発展してしまったのが、実家から程近いところに古銭堂なる切手とコインの趣味の店を見つけてしまったことだ。友達とチャリンコで出かけてはタメ息をついて帰ってくるのを繰り返した。ここではB〜C級品のコーナーがあり、カタログの価格よりグーンと下がって売っていた。写真の縦長でかっこいい、見返り美人や月に雁を最高峰に装備した切手趣味週間シリーズに、東海道シリーズや国立公園もの、SLシリーズなんてのも好きだったなあ。

 

そんな数あるシリーズの中で、やはり切手趣味週間シリーズは別格だった。縦長の2枚のワンランク下で憧れた切手が、ビードロを吹く娘と写楽だった。これより新しいのになると比較的安く手に入るが、この2枚は縦型コンビほどでないにしろハードルが断然高かった。ある日、古銭堂でビードロを吹く娘が800円、写楽が500円でB級コーナーにあるのを見つけ、僕は激しく身悶えた。欲しい、欲しいが2枚で1,300円とは今の感覚からすると100倍の10万円超えぐらいの価値だろうか。傷の状態を何度も確かめては、でもやはり手が出ずに立ち去った。記憶ではそんな店詣の3回目くらいだったように思う。ビードロを吹く娘のさらに粗悪品が700円でラインナップされた。この日は800円か500円に手を出そうと覚悟して店に行ったので、この100円落ちは狂喜乱舞した。傷の具合はやはり100円分ひどかったが、僕にとっては投資ではなく所有することに意味があったから、ついに清水の舞台から飛び降りたのだった。

 

少し後に写楽も手に入れて、僕のコレクションの最高峰コンビとして長く君臨した。が、この2枚をラインナップさせた後は少しずつ収集熱が冷めていく。見帰り美人と月に雁には絶対に手が届かないと諦めていたから、これにて僕のコレクションは頂点まで上り詰めたということになったのだ。強烈な欲しいという気持ちがなくなったことで、夢から覚めた。と、不意にそんな日々を思い出した僕なのさ。

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2件のコメント

  1. 切手… オレも集めたぁ〜!
    切手帳数冊、今も家の中で視界に入る場所にあるしね。
    しかし、この何年も開けたことないなぁ…(苦笑)

    かと言って、バイセルに売る等、手放すのは躊躇するんよねぇ…
    切手帳に限らず、カミさんに邪魔や!言われても必ず言い返すキメ台詞…

    「また使う!」

    女にゃ、男のロマンがわかっちゃねぇよなぁ〜

    • 男のロマン、なんだか忘れられかけている気がしますね。俺らはロマンで生きていきましょう!!

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