中華の鉄人!!

蒲田にその男はいる。ニヒルな笑みを浮かべることはあるが、言葉を発している姿をあまり見ない。来る日も来る日も中華鍋を振り、それ以外の時間もほぼ手を動かしている。ものすごい仕事量で、見ているとうれしくなってくる職人だ。この日(ずいぶん以前ですからご安心)もカウンターに陣取って、彼の素早い動きに刺激をもらった。

 

鉄人が大活躍する舞台となっているのは、つけ麺大王蒲田店だ。大王は、つけ麺をメジャーにのし上げた立役者となった一大チェーンだったが、今や店舗は激減してしまった。どさん子ラーメンとちょっぴり雰囲気がかぶる、僕にしては珍しく好きなチェーン店である。つけ麺大王チェーンがその勢力を弱めてしまったのは、極めてまっすぐ昭和だからだろう。ところが、さすが東京のスラム街の蒲田だ。つけ麺大王が西口東口にそれぞれあり、どちらもいつもおっさんで賑わっている。ニューウェイブなラーメンを受け付けない、やさぐれた男たちが日々ズルズルやっているのだ。

 

鉄人がいるのは西口にある蒲田店で、ここは深夜営業もバッチリで、僕にとってはものすごく迷惑な存在だ。我が家は蒲田から東急に乗り換えて数駅のところで、深夜にタクっても1,000円程度。歩いても40分強で帰れる。蒲田まで帰れれば、家はもうすぐそこという感覚がどうしてもあり、ちょっぴり呑み足りないなんて時についついその暖簾をくぐってしまうのだ。昭和な餃子をつまみに呑む緑茶ハイに酔う。何よりの肴は、鉄人の仕事っぷりである。緑茶ハイをのんびり飲みながら、うっとりして過ごす時間は至福と言わずなんと言おう。

 

地獄なのは翌日だ。2時過ぎまでうっとりと過ごした締めに、日替わりで激安のサービスつけ麺についつい手を出してしまう。短い睡眠と重たくなった胃を抱えて仕事場へと向かうとき、なぜ人間とは学習しないのだろうと自分を責める。が、言い訳すると、僕は決してつけ麺が食べたくてここに行っているわけでない。鉄人の仕事っぷりを見てパワーをチャージしているのだ。一瞬の隙も見せず、スピードキングで仕事をこなす姿勢を自分に取り入れようと学びに行っているのさ。ホントだよ!!

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2件のコメント

  1. 東、西とも青春時代からお世話になってます。日替わり定食はお財布に優しく美味しいですよね。(^-^)

    • おおーっ、何処かでお会いしているかもしれませんね。僕はもっぱらサービスつけ麺です。

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