冬がくる。それでも気持ちはあたたかい。

冬を愛する人の心はなんだ? 名曲『四季の歌』の話で、その心は広い人だと歌われている。うーむ、すばらしい。ちなみに、春は清く、夏は強い。秋は深い人とそれぞれ続く。うーむ、くどいようだがすばらしい。日本は島国であり、大陸からの文化を受け入れながら独自のスピリットを練り上げることができた。その根っこにあるのが豊かな四季である。が、言うまでもなくここ近年四季が崩れている。春と秋が極端に短くなり、暑いと寒いを繰り返していて、未来は二季になっちまうのではないかと心配な日本である。すでに選挙戦に入っていて票が欲しいトランプ氏はこの異常に背を向けるが、四季を愛してきた日本人は強く温暖化の影響を感じている。

 

と、ちょっと叫んでみたのは写真のシーズンインが今年は例年よりだいぶ早かったから。いつもは11月の下旬に思い出したかのようにオーダーする、愛する一杯だ。

 

まるで広報マンかと疑われてしまうかのごとく、浜松町の江戸時代より続くここ、布屋更科をこのつぶやきでは頻繁に紹介をしている。そばマンガの『そばもん』でも登場するような店だから、決してそうでないことはご理解いただきたい。老舗の名店なのにそんなことを感じさせない雰囲気と、決して安いとは言わないが庶民派価格がよい。消費税増税に合わせてちょっぴり厳しい値上げを敢行したのは残念だが、昨今の原材料の高騰を考えれば理解するしかない。

 

なんだかここまで全て前置きになってしまったが、写真の親子かきたまそばは僕にとっての冬のご馳走である。そもそも絶品のだしに卵がふんわりと絡んで、さらにとろみをつけてある。このつゆのうまさったら、冬を好きにさせるほどだ。熱々の一杯は夏には受けつけられるはずがなく、四季を愛する日本人でよかったと心から感謝する一杯だ。かきたまはほとんどのそば屋にラインナップとされる定番ながら、ここのは親子と名乗っているように鳥の唐揚げが入る。そのまんまの肉を打ち込むのでなく、この一手間をかけることが布屋更科を愛するゆえんだ。こいつを味わっていると冬を愛せて、四季の歌にあるようにきっと心が広くなるぞ。浜松町にお越しの寒い日には、ぜひっご賞味あれ!!

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