屋形船初体験のおっさん。

バイク関連の仕事でお世話になった方の引退祝いで、乗り合いの屋形船で宴を楽しんできた。ちょっとお値段はかかる遊びながら、満足度は高く楽しい時間となった。僕のグループは5人で、全員僕より年上の社会的な立場も高い方々で、末席の僕はパシリを務めたのだった。

 

深川から出発で、まずは隅田川を上流へと行く。酒は各種飲み放題で、この船ではセルフで取りに行ったり作ったりなものだから、パシリは忙しいったらない。が、先輩方のためにえんやこらだ。浅草を超えたあたりでUターンして、お台場までいく。結構なスピード感の中で、自慢の揚げたて天ぷらをいただくとうまいうまい。お台場に着くとイカリを下ろしてくれ、屋根の上で夜風に当たった。全員足したら300歳を超える5人は、まるでガキのようにはしゃいだ。やがてイカリを上げて、元の場所まで約30分のクルーズで終了した。江戸の頃から続く贅沢だろう。そう考えると当時の粋人たちとつながれたように思え、きっと当時の皆さんも天ぷらだったに違いないよねなーんて会話も楽しく、本当にあっという間の2時間だった。

 

70才を超えた偉大な男の引退だ。なんだか最新号と縁があるような気がしなくもなく、その笑顔はやけに眩しかった。悔いが全くないわけでないそうだが、さすがにもう仕方なしとのことでご納得の引退だ。自分の人生はどうなるだろうと何度も考えては、その日に彼のような笑顔でいたいと願うばかりだった。

 

それにしても、54年も生きてきて知らない世界ってのがまだまだたくさんあるものだ。そもそも、浜松町に会社があるのだから屋形船で遊ぶのなんざ、すぐ近くの店へと行けばいいのだ。「えいやっ」がなかなかできないのは情けなく、その「えいやっ」が多い人生も偉大なる先輩のような笑顔になれる秘訣だろう。と、少々の反省を胸にして帰路に着いたのさっ。

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