さらば、アナログ放送。

アナログ放送が一部地域をのぞいて終了したが、僕はイベントの仕事で出かけていて、残念ながらその瞬間に立ち会うことが出来なかった。突然映らなくなったと、年配の方を中心に結構な騒ぎだったのはご周知のとおりで、よりによって日曜の午後だったから『笑点』や『大相撲千秋楽』を見られないと泣いた多くのお年寄りが本当に気の毒である。テレビは戦後復興のシンボルのひとつであったわけで、街頭テレビからともに歩み、モノクロからカラーへと進歩を喜んできた方々だ。その中で、今回のデジタル化だけはさぞ迷惑だっただろう。

僕たち昭和40年男だって、テレビの進化とともに生きてきた。ハードの進化は『三丁目の夕日』世代より若干の鈍化はあったかもしれないが、それでも百花繚乱の時代を生きた。そして他の世代に胸を張って誇りたいのは、ソフトの進化と自身の成長が最もシンクロしたのが、おそらく昭和40年男を中心とした世代ではないだろうか。テレビは僕らに、夢の世界やそれまで触れたことのなかった楽しみを提供してくれた。野心に満ち満ちた作品を投入してくるテレビ職人たちは、映画より格下からの脱却に命と魂を燃やしまくったのである。そのエネルギーを胸の真ん中で受け止めてきた。演じるキャラクターたちにとってもテレビの影響力が増していく中で己の世界を昇華させていった。その姿をブラウン管越しにリアルに見てきた。出てきては消えていくテレビの世界のシビアさも、きっと僕たちにはいい教材なのである。

さてさて、今回のデジタルへの移行がうさん臭いものだというのは専門家に任せることにするが、相当な数のテレビ難民が生まれたようだ。きっと71歳になるウチのお袋もその1人だと思ったら、さすが元電気屋の妻だ。ちゃっかりとデジタル化していた。近所の知り合いの電気屋で、アンテナと26型の国産テレビを購入したその合計額は約8万円だったそうで、これだけの強制出費を捻出された婆ちゃんは気の毒である。安売り大型店にいけばもう少し抑えられただろうに、そうできないのは下町で長きに渡り小さな電気店を営んでしまった商人の心で、まったく困った婆ちゃんだ。それにしてもひどい出費を強要されたなあ。以前よく行く立ち食いそば屋で、従業員同士が購入は絶対に無理だと話し合っていたのが聞こえてきたが、こうした難民はかなりいるはずだ。テレビはまだ映るのだから、ムダ以外の何ものでもない出費にそうそう誰もが捻出できるわけじゃない。故障してからだったら渋々とでも出せるものかもしれないが、消費には微妙な心理が働く。

気になるのは、僕の周囲の限られた話ではあるが、10歳以上離れた下の世代が何人も、今回の件でテレビから撤退していることだ。新聞からの撤退もドンドン進んでいる。続いてテレビである。時代の潮流であるから仕方ないことであるが、アナログとはどんどん離れていくのだね。そしてもうひとつ、昭和40年男にとっては、アナログとの大きな悲しいさよならがあったよね。ごく最近のことで、あれだよあれっ!! もったいつけておいて、明日へと続くのであーる。

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