おっさんのための居酒屋が消えていく。

会社のすぐ近くにある、おっさんのパラダイスが閉店していた。気がつかなかったが、先月のことだった。ここには絶品の煮込みともつ焼きがあり、昔ながらの居酒屋らしい居酒屋だった。同じ看板と屋号の店をたまに見かけるから、大々的でないにしろチェーン展開していたのだろう。FCなのだろうか、どこも独自性が強く、一貫しているのはおっさん好みの店ということとこの黄色い看板だ。

 

僕の街にあった太平山も、浅草でもいつも賑わっていた店も近年店を閉めた。飲食店の競争は激しくなるばかりで、そんな中で限界だったのだろうか。ただ、この店は閉めるような閑古鳥は泣いておらず、繁盛店だと思っていたからちょっと理解に苦しむ閉店である。

 

高校時代から居酒屋で働いた。ちょうど居酒屋のチェーン店が増えた頃で、『つぼ八』や『村さ来』、『呑兵衛』なんかがワサワサと開店ラッシュの頃だった。僕が働いていた店はそんな全国チェーンではなかったが、上野を舞台に奮闘していた激安店で、今も元気な居酒屋チェーンの『いろはにほへと』をモチーフにしたと思われる店名は『あいうえお』だった。入店すると翌年に『かきくけこ』をオープンさせて、さらに『あいうえお弐番館』をオープンさせた。酎ハイと一気ブームに乗って3軒とも大繁盛だった。今は『かきくけこ』の跡地に『さしすせそ』だけが残っていて、かつての店舗を知らない人には意味不明な店名だろう。

 

つぼ八のようなニューウェイブ系の居酒屋だったから、そういった店を当時から僕は避けていた。ナウでヤングなのに、呑む店はおっさんライクなところばかり選んでいた。上野だったら『五右衛門』や『たぬき』『山賊の息子』なんて店を愛していたのだが、残念ながらどれもない。時代はおっさんの好きな店を次々に排除してるかのようだ。おらが街の太平山までなくなってしまうとはトホホである。

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