男の宝物。

先日、ちょっとした打ち合わせを兼ねてライターの濱口と一杯呑った。タメ年男で歌謡曲や映画、テレビドラマの知識がこの人の脳みそはどうなっているんだといいうほど膨大に詰まっていて、話の尽きることがない楽しい男だ。実はもうひとつの目的は、写真の『ヒットソングを創った男たち』を上梓したお祝いである。これまた膨大なデータと執念が詰まっていて、彼は詰め込むのがよっぽど好きなのだな(笑)。まだパラパラとしか読んでいないが、お値打ちであることは間違いなさそうだ。お正月にのんびりと読み込みたい。

 

その祝いの席の舞台にしたのが、新宿御苑にあるそば処『黒田五番館』である。酒のつまみが秀逸な上、絶品そばが食える。それもそのはずで、もともとはこの地で営業していたそば屋黒田の改装に合わせて、赤坂で長年営業してきた和食店の五番館がドッキングしたのだ。そのまんま店名になっている。

 

 

このボトルのタグがドラマである。平成14年の11月となっているから、もうかれこれ16年前に入れた時のタグだ。当時はバイク雑誌『タンデムスタイル』の編集長として奮闘していた僕で、その名でキープをお願いしたところ親父さんはタンディムと書いてしまった(ちょっと見にくいね)という、ご愛嬌なのである。事務所が赤坂にありよく通った店だ。遅く行って暖簾をしまって、一緒に一杯呑むなんてこともよくあった。事務所で寝るのが得意技だったから、夜中の3時4時なんてのは当たり前田のクラッカーで営業後の居残りをさせてもらっていた。よくよく考えれば迷惑な話である。

 

五番館は閉めてしまったが、必ずどこかで店を再開すると言っていた親父さんで、ならばと同じ赤坂の馴染みの店にこのタグを預かってもらった。しばらくの間はその店でタグが2枚かかった吉四六を呑んでいたが、公言していたとおり黒田とのダブルネームながら復活となった。晴れて五番館に戻れて、今も僕のボトルにはこいつがかけられている。

 

不義理なことに今年初の来訪だった。しばらくぶりですと謝って、ビールを呑んだ後に焼酎のボトルを頼むとよかった、しっかりとキープされたまま出てきたのだった。新宿の一等地に1年以上土地を借りていボトルだから、家賃を払わないといかんなと笑い合った。そして帰り際には、なんとか今年もう一度来るから「よいお年を」とは言いませんなんて軽口で店を出た僕だ。こんな店があることで、また仕事に頑張れる。それは14年前から全く変わらず、薄汚れたこのタグこそ男の人生の宝物である。

 

   

『昭和40年男』定期購読のご案内

最初のコメントをしてみませんか?

お気軽にコメントをどうぞ

メールアドレスは入力しても公開されることはありませんのでご安心下さい。