撮影は知りあいのカメラマンに
料理撮影に長けたヤツがいる。
普段からいろいろとムリを聞いてくれる、
頼りになるカメラマンだ。
こっちは安心だった。
問題は撮影場所である。
編集長とどうするか話し合う。
ちなみに、編集長はかつて料理人として
働いていた経験があり、料理にはうるさい。
「やっぱりキッチンスタジオ借りるしかないんじゃないすか?」
「そんな予算あると思ってんの?」
「そっすよねぇ…」
こんな会話を何回繰り返したことか。
実は策はないことはなかった。
編集長の自宅でやってしまおうという策だ。
独身で占められている編集部内において
家庭のキッチンと呼べる設備が自宅にあるのは
編集長のみであった。
◆副編集長:小笠原
北海道生まれの35歳。仕事以外にこれといった趣味はないが、最近会社でコーヒーを豆から淹れることを覚えた。よりおいしく淹れるため、試行錯誤するのがちょっとした楽しみの一つになっている。