大編集後記その壱。昭和40年男の僕から見た欽ちゃん。

S40_25号表紙Kさあ、vol.25の発売が間近に迫った。発売前恒例の大編集後記をお送りさせていただこう。

創刊以来初となる、一個人にスポットを当てた特集に取り組んだ。以前から発想としてはあって、いろんな名前が候補としてあがっては消えてを繰り返していた。そんな中で、欽ちゃんを起用してここに堂々完成したのをうれしく思っている僕は、もちろん彼の大ファンだ。

何年生だったかは記憶していないが、小学館の『小学○年生』で、欽ちゃんの天才っぷりを綴ったマンガがあった(余談ながらこのシリーズで長嶋茂雄さんを読んだ記憶もある)。小学生ながら、笑いに賭ける情熱に感銘を受け、その努力を怠らない姿勢に惚れ込んだのだった。僕が欽ちゃんを見るベースには、このとき受けた尊敬の気持ちが常にあって、番組でふれる度にその気持ちは強くなっていった。

タメ年男たちにとって、欽ちゃんに強い興味を持ったのは、ドリフとの土曜日戦争じゃなかろうか。『8時だョ! 全員集合』に対して『欽ドン』が攻勢に出て、クラスでも2つに割れた時期があった。ドリフとはまったく異なる笑いにしばらく揺れ続いていたが、やがて志村さんが加入してからはジワジワと『8時だョ! 全員集合』にみんなが戻っていった。

その後しばらくして、10チャンネルの『欽ちゃんのどこまでやるの!?』を毎週楽しみにするようになった。夜9時放送開始は僕にとって特別な意味がある。コンビニがまだほとんどない時代に電気屋を営んでいた我が家は、毎日夜9時まで店を営業していた。居間と店舗がつながっている家にとって、閉店時間となる夜9時は家族全員が心休まる時間なのだ。この時間に全員そろって見るテレビには想い出深い番組が多く、ドラマなんかもあーだこーだと話しながら見たものだ。まさしく昭和のお茶の間である。真屋順子さんが大好きだと言うお袋と一緒に見た『欽ちゃんのどこまでやるの!?』は、我が家初となった家族全員が支持するバラエティだったのだ。

さらに時を経て、月曜日の夜9時に引っ越してリニューアルされた『欽ドン』にも僕は夢中になった。イモ欽トリオや中原理恵さんの抜擢など、センスあふれる番組構成は、小学生の時に感じた天才っぷりをさらに高めた。僕にとってはそうだったが、多くの昭和40年男たちにとってはどうだっただろう。この番組がスタートした年に、高校に入学した俺たちだ。生活パターンが大きく変わり、趣味嗜好も激変した年頃だ。ましてや、同じ時期に始まった『オレたちひょうきん族』の新しい笑いの世界に飛びついたタメ年たちは多いだろう。比較して、欽ちゃんの笑いは女子供のものだと感じた者は少なくなかったかもしれない。

僕は小学生の頃に、本気でお笑いの世界を夢見たことがある。その気持ちにさせたのは欽ちゃんであり、ドリフの面々である。その笑いで育った僕には『オレたちひょうきん族』はどうにも馴染めなかった。土曜夜に家に寄り付かなくなった時期とも重なって、ほとんど見ることがない番組だった。そんな高校生なのに、尊敬する欽ちゃんの番組は『歆ドン』『欽どこ』ともによく見た。高2の秋に始まった『週間欽曜日』でさえ、好んで見ていたほどだ。

そんな大ファンである僕だから、この特集がスタートしたといえるかもしれない。だが、この特集は彼を好き嫌いに関わらず、僕らテレビ世代にとって極めて重要なキーマンなのだとタメ年男たちにレコメンドしたい。後のテレビに強く影響を残し、欽ちゃんの笑いに烙印を押させる要因にもなったかもしれない『オレたちひょうきん族』も、欽ちゃんの笑いの上に成り立っていたという事実。そんな欽ちゃんが築き上げたテレビの世界の現場を鋭くえぐった今回の特集は、昭和40年男たちの心にきっと深く突き刺さるはず。今回も自信ありの特集だ。乞うご期待ですぞ!!

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