出版社として歩んだ10年。〜初めての撤退〜

うちの社が出版事業に手を出して10周年を迎えたので、
間にいろいろはさみつつ、これまでのことを振り返りながらつづっている。

大失敗に終わった『音に生きる』の4号と5号で大きな敗北を喫した俺は
反省を繰り返し、もう少しわかりやすくミュージシャン入門ガイドにリニューアルしてみた。
以下に6号からのタイトルを並べる。
 “今スグ始める-バンド入門”
 “今すぐ弾ける! ギター入門”
 “ヒント満載! ライヴ入門”
 “誰でも書ける作曲入門”
 “誰でもできる! 楽器入門”
 “アコースティック楽器入門”
と続けていった。おーっ、すべて入門が付いている(笑)。

このリニューアルは成功だった。
とくにギターと作曲の号は、問屋さんもビックリする実売率をマークした。
これで4・5号での大失敗は取り戻せたものの
なんだかつくっていて窮屈に感じるようになっていった。
ここまで来てやはり音楽というものに自分が近すぎることを、
日に日に強く感じさせられるようになった。
また、事業としても苦しめられた。
広告はゼロ収入が続き、販売率がよくなったとはいえ、
もともとがそれほど大きな部数を受け入れられるジャンルでないから、
販売収入もたいしたものにならない。
他にドル箱事業があってトライを続けられるという余裕があればいいのだが、
このご時世にそんなこといっている出版社はごく一部だろう。

だが我慢に我慢を重ね、2009年まで続けてきた。
石の上にも3年と踏ん張ってきたが、
このままトライを続けていても事業として大成功するというイメージはしづらい。
そう判断するに至るまでに、数々の工夫や技術を投入したつもりだ。
だからこの選択は自分の中ではスッキリとできる。
休刊である。

だが、ビジネスだけで割り切れない意地や、世話になった方々の顔が浮かんだりする。
応援してくれている読者さんもたくさんいるのだ。
割り切れる自分とそうでない自分が葛藤を繰り返した。
出版社として歩んできて、初めての撤退を決意したのは2009年6月のことだった。

続くぞー。

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