中原めいこさんの「ジェミニ」を覚えているか?

多くの昭和40年男諸氏にとって、中原めいこさんとのコンタクトポイントはカネボウのキャンペーンソングに起用されて大ヒットした「君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね。」だったのではないだろうか。軽快なリズムとメロディに乗って、なんとなく浮かれた歌詞がいい。トレンディドラマと同様に、きらびやかな世界に背伸びしながら憧れた。思い出してみると、なんだかちょっぴり照れくさいような気分ですなあ。

中原めいこ ジェミニこんな話を持ち出したのは、先日レコードレーベル数社と、音楽に関わりの深いその他の業種の男たちで宴会が催された。同年代の連中が『昭和40年男』をキッカケに集うようになり、今や「会」として度々招集がかけられるほどに育ったのである(!?)。当然ながら音楽話が展開されることが多く、前回集まったときは「商業ロック・産業ロック」話で大いに盛り上がった。この話だけできっと1時間以上の激論になったと思う。そして今回、話題をかっさらったのが懐かしの「シティポップ」だ。参加者の中には、かつてあの大御所を担当していたとか、興味深い話がバンバン飛び出したが、この辺は深すぎてあまり書けないのが悔しい。いつかドバーっと放出する日のためにストックしておくことにする。

そして1人が声を張り上げた。
「シティポップといえば、中原めいこだろうがっ」と。一同「おおっ、懐かしい」と叫びながら、話題となった曲名はもちろん「君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね。」だ。そこに僕の反論は「中原めいこの最高の名曲は『ジェミニ』だろうがっ」との言葉に、この話題を切り出した男は瞬間的に反応して、大いに共鳴したのだった。

「ジェミニ」の歌詞は、目が離せないモテモテ男に対して、ラストのチークだけは私と踊ってほしいとの嘆願ラブソングである。もてない、さえない、汚いの三拍子揃った僕にはまったく遠い世界ながら、胸をキュンとさせるムードがあった。川島なお美さんによって83年の夏にヒットしている。1年遡り、中原めいこさんによって秋にリリースされた楽曲なのだ。

僕は記憶の旅に出た。シティポップにそこそこ興味を持っていた当時の彼女に、「ジェミニ」を強烈レコメンドされ聞かされたのだ。高3の夏のことで、赤いラジカセから流れてきた記憶があるので、もしかしたら彼女はサンヨーのおしゃれなテレコを愛用していたのかもしれない。そして流れたきたサウンドは、僕の当時の嗜好とは真逆のものだった。ギトギトとしたブルースっぽいロックばかりが染み付いていた僕に、爽やか過ぎるサウンドとおしゃれな雰囲気に瞬間的な拒絶反応はあったものの、悪くなかったとの気持ちも奥のほうに芽生えた。カッコつけて「俺、こんなん好きじゃない」と反応したと思うが、これ以降、バイト先の有線放送から流れてくる度に口ずさんでいる僕がいたのだった。

なんて記憶を思い出しながらもシティポップ談義は続き、中原めいこさんは見事にその主役の座を射止めた。そして、メンバーの中ではもっとも年長で、このシティポップ談義にはイマイチ入り込めなかった男が言った。
「日本中でここだけでしょうね。中原めいこでこんなに盛り上がっているのは」

ビバ、昭和40年男!!

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6件のコメント

  1. まさに今聞いています。「月夜に気を付けて!」大好きです。このシティポップブーム、中原めいこにスポットがあたることはないのでしょうか?
    「君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね。」だけじゃない!!と声を大にして叫びたいです。

  2. YouTubeでライブ見てました。ラストは、ニューヨークでサルサ。銀の月夜のハネムーンが好き

  3. 〝ジェミニ〟を推すとは流石!。自分の印象に残るのは〝エモーション〟です。アメリカのFOXYに感化されたようなファンキーな曲調が彼女に合ってて良かったですね

  4. ファンキークリスマスは名曲。もっと評価されていいよね( ´ー`)

  5. 私としましてはTV「ダーティペア」の主題歌の印象も強いですね。
    「ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット」

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