良いものを早く、安く、低炭素で。〜ホンダ社長会見〜

会見に臨む伊東孝紳社長(右)と近藤広一副社長(左)

広い会場にはざっと500人ほどだろうか、報道陣が詰めかけていた。
テレビカメラはそれ専用スペースに陣取り、スチールカメラマンは主役が座る席の前で座り込んでいる。
やがて主役が現れ、席に着いた。
昨日、ホンダの社長会見に出かけてきたのだ。

まず冒頭からパワー全開で、新たな成長戦略を描きそれを実行するとの宣言から始まった。
リーマン・ショックから続いた不況を跳ね飛ばす社内改革が進んだのだと。
そして高らかに「良いものを早く、安く、低炭素でお客様にお届けする」との宣言に続いていった。
う〜む。“安く”が入ったか。
日本のお家芸ともいえる二輪・四輪メーカーの中でも、代表する企業であるホンダがである。
高い価値に対して安くという注釈は入ってはいたが、う〜む。

グローバル企業がみな直面している問題であるし、
そこに起因して国内企業全般が大小こそあれ影響を受けている。
我々のような小さな出版社にも影響は決して小さくない。
日本は、ダウンサイジングとグローバルという2つのキーワードがかけ合わさって、大変難しい局面を迎えている。
そこと最前線で闘う企業のひとつであるホンダのトップから出た言葉だから、
重く重く受け止め、昨日ここで書いた7月20日のうかれた気分などははるか彼方にぶっ飛び、
次の打ち合わせへの道についた。

それにしても感心させられたのは、社長からよどみなく出てくる言葉の数々である。
たっぷりと取ってくれた質疑応答でも、まるで用意してあったかのように流麗に言葉を紡いでいく。
頭のいい人ってこういうことなんだろうな。
いい加減な報道をするなと大新聞にクギを差したり、さり気なくユーモアを加えたりと、
前社長の福井さんもそうだったが、ホンダらしいといえばいいのかなあ。
フレーフレーホンダ!!
これからも日本のものづくりを引っ張っていく、元気な集団でいてくれ。

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2件のコメント

  1. 伊東社長が本田技術研究所のボスだった時代に、朝霞工場で汎用製品技術者たちとのグループインタビューのまとめを担当したことがあります。スポーツカーNSXのボディ設計に携わり、アメホン経験も豊富で、とどめは歴代ホンダ社長の王道出世コースである技術研究所の親玉。どう考えても次代ホンダの顔になる人だったわけですが、僕がそれ以上に伊東さんに感じた親分の器というのは、編集長と同じく、“よどみなさ”でした。言葉が明快でボカシがない。腹をさぐられまいと言葉を選んでいるうちに無難な言葉しか吐けなくなった、なんてのとは無縁の小気味よい話しっぷりと論理に感銘を受けたものです。

    それと、声が大きい。誰とでもじっくりきっちり話しこむ。そしてすぐに返答する。身ぶり手ぶりもダイナミックで、笑う時は破顔一笑だし、真剣に話を聞く時はぐいっと身を乗り出してくる。僕の大好きなホンダ・ガイです。でもさ、頼んます、またF1やってください! カセットガス・エンジンでもいいから……。

    • おーっ、思わぬ所でコンセンサスですなぁ。今回も新聞記者だったかな、質問に「そんなバカな話」というセリフが一人歩きしてしまったらしいね。痛快ですよ。カセットガス・エンジンでのF1参加は大賛成です、一票。

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