宮沢賢治の『やまなし』を記憶しているか?

小学校の国語の授業でこの作品と出会った。「クラムボンはわらったよ」との印象的な言葉にハッとさせられたまま引き込まれていったのを強く記憶していて、国語の授業で取り上げられたものの中で、最も印象に残っている作品だ。先日、ふとした作業中にこの作品のことを思い出し、青空文庫を検索して、久しぶりに読んだ。息子がまだ小さな頃に絵本を買ったのが、もうかれこれ20年ほど前になる。このときも今回と同じようにふと小学生の頃を思い出し、コイツはいいと初めて贈った本だ。

この歳になっても、あの日と変わらず川底での情景がクッキリと浮かんでくる。それと、僕の中ではムーミンパパの声で聞こえてくる、お父さん蟹の魅力的なことったら。兄弟と親子が醸し出している雰囲気に古さはまったく感じさせないのに、なんと1923年の作品なのだ。川底の物語に心が安らかになったまま、そして考える余韻を存分に残してやわらかに幕を閉じるのは見事であり、きっと僕の中に強くしがみついていると思う。こんな素晴らしい表現はまったくできていないが、自分のモノ作りに色濃く入り込んでいるのは確かだ。

皆さんの教科書には載っていただろうか? そしてどんな授業を受けただろうか? クラムボンについて、そしてイサドについての質問が教師からあった記憶がある。残念なのは、その質問をした先生の顔が4年生時と6年生時の双方が出てきて、どちらなのかが特定できないのだ。自分の心の一部になっている作品なのになんとも情けない。

この歳になったからこそ見えてくるものがあり、さらに今の自分を観察できるすごい作品だとあらためて深く敬意を表した次第だ。ぜひ文庫をのぞいてみてほしい。タメ年の皆さんと、素晴らしい世界を分かち合いたい気分である。

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