大編集後記その七。山田太一さん登場!!

さあ、いよいよ明日は独立創刊号が発売となる。今夜は恒例の『浅草秘密基地』だから、その前祝いに皆さん駆けつけましょう。楽しい夜にしようぜ。

不定期連載の『ガツンとひと言 兄貴の説教』では山田太一さんのインタビューをお届けする。いやあ、今回の取材スタート時に失態を演じてしまった。インタビューの冒頭に、編集長である僕よりあいさつと雑誌の主旨や今回の取材意図などを説明したのだが、そこで「殺伐とした日本に元気を」との言葉を使った。戦後を生きた山田さんはこれに相当な違和感を感じたようで、殺伐とした時代とは戦後のもののない頃で、現代は幸せにあふれていると、軽々しい発言にいきなりガツンとされた僕だった。

そんなことで始まった取材だが、今回から昭和40年男の仲間に加わってくれた篠原氏がたくさんの話を引き出している。山田さんといえば『ふぞろいの林檎たち』や『岸辺のアルバム』で、昭和40年男の心を鷲掴みにした。数多くの作品からいろんなことを教わった昭和40年男が多いだろう。僕にとってもっとも印象に残っているのは、田宮二郎さんが主役を演じた『高原へいらっしゃい』で、それこそ昭和のお茶の間のままに、家族全員で夢中になって観た。03年にリニューアルされたことを今回の取材を通じて知り、今さら後悔したほど大好きな物語だった。

山田さんの作品に共通して流れているのはリアリティだろう。『高原へいらっしゃい』に子供ながらにして見入ったのも、その部分だった。高原のホテル経営の立て直しは、なんでそんな理不尽なことがとか、なんてついていないんだとかの連続だった。だが、経営再建がそんな一筋縄でいくはずがない。まるで実話のように迫ってきたのだった。そんな脚本を、なぜ山田さんは書き続けるのか? 言葉の数々からきっと感じ取っていただけるだろう。

4ページを使ってお届けするインタビューは、まさに兄貴から届けられる言葉が踊る。「兄貴というには歳をとりすぎてますよね」と、こういうと失礼かもしれないがチャーミングな笑顔が、なんともいい印象に残った。インタビュー中の姿に、誠実というのはこういう人のためにある言葉なんだなと、自分の加齢にいい教訓に感じることができた。乞うご期待ですぞ!!

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