おせちカタログに我想ふ。

郵便局でこんな冊子を見つけた。豪華なフルカラー24ページ綴りで、あるわあるわ全国各地のおせちがずらりと並んでいて、見ているだけでうれしくなってくる。駅伝シーズンにも突入したし、今年もラストスパートを意識せざるを得ない時期がきた。さあ、どんな年越しにしてやろうと自分の中に薪をくべている気分にさせてくれたのは、今日の東京の朝が澄みきった秋の空気を連れてきたからだ。

 

さて、まずは得意の脱線ゲームだ。昨日の出雲駅伝の結果を見る限り、今シーズンの駒澤大学はかなりいい。昨日のレースでは、オーダー変更なしの大八木監督の男前に感服しつつ、田澤選手を補欠にしてもう少し揺さぶればとレース前は思っていた。だがさすが「男だろっ」と選手を鼓舞してくだらぬ批判を受けるだけある。あんたこそ、男だろっ!! な、痛快な気分だった。青学の大惨敗も、残りの2レースにはかえっていい影響になるはずで、ますますおもしろいなと僕は捉えている。原監督が全日本駅伝までにどんな魔法を使うのだろうかと、ワクワクさせられている。他にも注目すべきチームが見られ、来月の全日本でもう少し戦力が明らかになることだろう。お正月の箱根を心の底から楽しむためにも、今日より年越しまで仕事はロングスパートとする所存である。

 

さてさて、おせちのおもひでだ。我が家、昭和の電気屋は暮れが一年で最も忙しい。夏のクーラー需要も凄まじかったが、なんといっても電気屋の書き入れ時は暮れだ。どうしてこの時期にこんなに家電製品の需要が高まるのだろうとの不思議を、毎年のように両親にぶつけていたように思う。お正月を新しい気持ちで迎えるために、そして家電への投資は気持ちを豊かにする効果がある。加えて、テレビと冷蔵庫はお正月に大活躍するから、せっかくだから新調するかとなるのだ。小学生の高学年の頃から、我が店・北村テレビ商会での僕は十分に戦力だった。3つ下の弟も、お得意さんに配るカレンダーを巻く仕事が与えられたり、やがては成長によって大活躍することになるのだった。お袋ももちろん大戦力で、4人で大晦日までほんとによーく働いた。ギリギリまでテレビだ冷蔵庫だと運び、やっと喧騒が鎮まるのがお大晦日の夕方ながら、店にはバンバン客が来る。お正月に切れちゃまずいと、電球に電池、当時の家には必需品だったヒューズなんかを買い求める客は、年明け寸前まで続くのだ。実際、店は紅白が終わるまでが営業時間で、“開いててよかった” がない時代は、ご近所の商店と一緒になって年越しの暮らしを支えていた。昭和の豊かな原風景である。

 

そんな大忙しの中でも、お袋はおせちの準備を怠らなかった。ストーブの上で炊く黒豆は、毎年のように失敗していたが、大晦日まで激務の電気屋で年越しの準備を精一杯やっていたことには、子供心に感謝していた。そんなだからお正月は盛り上がる盛り上がる。あの頃にも、こんなカタログはあったのだろうか。これならお袋はずいぶんとラクできただろうにと、パラパラとめくりながらそんな感謝の気持ちを思い出したりした。

 

このカタログもまさに書き入れ時の様相だ。配達は29日から大晦日となっているから、料理人さんだけでなく配達の方々も大晦日までびっしりと働くのだ。少し以前までそうだった自分だから、近年大晦日に休んでいることが贅沢すぎてなんだか申し訳ない気分になる。ガキの頃を思い出しても同じ気分だ。だからこそ、ラストスパートでがんばらなくちゃ罰が当たるってもんだと、ふんどしをギュッと締めた今日だ。一方で、土曜日は箱根駅伝の予選会だから、ちょっとだけサボりたいなと思う自分もいるのさ、ちゃんちゃん。
 

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