「菅原芳人 POP ART展 2022 – DEBUT」開催 ! 職人ヒーロー絵師、初めての自分のための作品は、昭和40年代の駄菓子屋感覚ポップアート。

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おはこんばんちはです! いつもは「S40ニュース!」「S50ニュース!」などの形をとっているのですが、今回は少し読み物的な内容の「Web特集」です。

先日 こちらのニュースでもお伝えした、イラストレーター・菅原芳人氏の初のファインアート個展である「菅原芳人 POP ART 展 2022 – DEBUT」が、本日 2022年 10月10日 (月・祝) まで、東京の神楽坂セッションハウスにて開催中されています。読者の中にも、足を運ばれたという方はいらっしゃるでしょうか?

不肖筆者も内覧会にお伺いしまして、会場で菅原さんにお会いすることもできたので、お話も織り交ぜつつ、作品展示の雰囲気をフォトレポートとしてお伝えしたいと思います。
 
 
フライヤーのキャッチコピーに “30年目のデビュー” とあるように、今回の個展は、菅原さんの画業30年目にして初の、商業作品ではないファインアート作品展。

ズバリ「POP ART展」と題されてはいるものの、事前の告知ではあまり具体的な内容が明らかにされていなかったので、どんな作品が出展されるのだろう? と思っていたのですが… 会場へ足を踏み入れてみると、やはりズバリな「ポップアート」の世界が広がっていました。

▲個展の会場には各方面からお祝いのお花が
▲会場風景。お客さんのはけたところを狙ってパチリ

エルヴィス・プレスリーやマリリン・モンロー、コカ・コーラの瓶やキャンベルスープの缶といったポップアイコンをモチーフとしたカラフルなシルクスクリーン作品で有名なアンディ・ウォーホル。コミックスのコマを印刷の網点が見えるほどにクローズアップしてキャンバスに描いてみせたロイ・リキテンスタイン。

そんな、ポップアートを代表する二大巨頭のスタイルをシミュレーションしつつ、昭和40年男世代である菅原さんにとってのリアルな原体験、“駄菓子屋的” な世界の様々なポップアイコンを描き出した作品の数々。これこそ “換骨奪胎!” と言うべき、ありそうでなかった和製ポップアートが並びます。

今回はファインアート、オリジナル作品による個展と聞いて、菅原さんが得意としてきた仮面ライダーやウルトラマンなどのヒーロー画の展示はないのかな? と勝手に思っていたのですが、そうしたヒーローたちこそ、まさに日本のポップアイコン。しっかり (?) 彼らをモチーフとした作品もありました。
 

▲仮面ライダー、ブルース・リー、『ド根性ガエル』の五郎と京子ちゃん… 昭和40年男世代直撃のポップアイコンが作品に
▲印刷の網点まで拡大されたリキテンスタイン風の『京子ちゃん 』 from『ど根性ガエル』(©吉沢やすみ・オフィス安井)
▲『ラムネ エー玉』。ウォーホルがコカ・コーラ瓶なら、菅原さんにとってのポップアイコンはこのラムネ瓶に

 
2007年から続いている「菅原芳人計画」でのTシャツなどのアパレル、商品パッケージやポスター用のイラスとなど、商業アートの世界で独自のアーティスティックなスタイルを築いてきた菅原さんですが、実は近年、画業引退も考えていたのだとか。

「やりたかったことはだいたい全部やったし、もう終わろうと思ってたんです。でも知り合いから『商品のためとか宣伝のためとか、目的あっての依頼に応じるのでなく、“自分で好き勝手にやる” という枠を設けてみたら?』って言われて。ああ確かに、考えてみたらそれだけやってなかったなって」(菅原さん 以下同)

絵を描く人は、まず描くこと自体が好きで、誰の頼みがなくても自分の好きな絵を勝手に描くものかと筆者などは思っていたのですが、菅原さんは早くからイラストレーターとして売れっ子となったためか、意外やこの30年間、そういうことがなかったようなのです。

「ずっと人に喜んでもらうための絵を描いてきたけど、今回は自分の好きなものを好きなように描いて、自分が欲しい、部屋に飾りたいと思うような作品を作った感じですね」
 

▲『孤高』from『仮面ライダー』(©石森プロ・東映) 。色違いの3エディションを展示
▲『孤高』from『仮面ライダー』(部分) 。このエディションの配色は、昔の「ベビースターラーメン」の袋のイメージだとか
▲『6個のカルビー仮面ライダースナック〔旧1号ver.〕』(©石森プロ・東映)
▲『超人』 from『ウルトラマン』 (©円谷プロ) 。こちらも色違いの3エディションを展示
▲『超人』 from『ウルトラマン』(部分) 。背景には、バルタン星人やザラブ星人、ゼットン、ウー、ベスタ―などの姿が

 
もともとポップアートは大好きだったという菅原さん。商業アートの世界でのこれまでの仕事は全て保管してあるそうなのですが、「手描きの原画よりも、印刷されたものの方が好き」なんだとか。印刷ではどうしても原画をそのまま再現できず、だからこそ原画に価値があるともされるわけですが、菅原さんの場合は、原画がオリジナル、印刷はその劣化コピーということではなく、そもそも印刷物を完成形として、そこを目指して製作しているので、原画はあくまで途中段階の素材、という考え方なのでしょう。

作品のモチーフとしてだけでなく、そうした “印刷物フェチ” とも言える指向や、ポップアート好きの原点としても、少年時代の原体験としての駄菓子屋的な感覚が大きく影響しているようです。

「印刷の網点とか、昔のメンコみたいな版ズレも大好き。今回の作品も、駄菓子屋の世界なんですよ。今みたいにひたすらキレイに仕上がったものよりも、そういう世界の中で育ってきたから。クオリティが上がりきっていないところがよかったんですよね」

当時は、日常で目にするプロダクトの中にも、大きな網点や版ズレのような、いわば不完全な状態が頻繁に現れていて、だからこそモノゴトの仕組みが直観的に理解でき、おもしろく感じられた… というのは、なるほど、覚えのある人が多いんじゃないでしょうか。
 
 
(次ページへ続く→
 ■まだまだ続く「POP ART展」レポート… 大瀧詠一との邂逅で向き合った「分母」  [2/2] )
 

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