エンジョイのホンダ!!

これは、鈴鹿サーキットの観客席サイドとピットサイドをつなぐトンネルにある掲示物だ。これ以外にもいくつものユーモアが展開されていて、行き来する者をニヤリとさせてくれる。上向きの矢印に斜線が引かれて「コースに登らないこと」としてあったり、“!” を丸で囲んで「上のコースから爆音が響きます、ご了承ください。」「下からも応援しよう!」などなど、同じ表示はなく楽しませてくれる。

 

鈴鹿サーキットは、創業者の本田宗一郎さんの肝いりで作られた。とんでもない費用がかかるわけで、パートナーであり金庫番だった藤沢武夫さんをさぞ苦しめたことだろう。だが、このサーキットの誕生が遅れたら、その分だけ日本のモータースポーツカルチャーは遅れていただろうし、ホンダのクルマ・バイクづくりにも同じことが言える。

 

遊園地を併設したのは、ホンダらしいユーモアというかセンスというか。家族連れでモータースポーツを楽しんでもらおうという気概であふれている。そのアトラクションも、クルマやバイク体験のようなものがあったりして、ホンダ色をしっかりとアピールしている。こうしたユーモアは、ホンダの推進力だった。先行するトヨタとの圧倒的な違いであり、失礼な言い方だがヤンチャだったのだ。ソニーと並び称されるのも戦後企業同士だからというよりは、ユーモアとセンスの部分が大いにシンクロする。両社とも目指すところは社会インフラでなく、エンジョイだったり感動、新生活なのだ。

 

と、この掲示物からそんな大袈裟なことを語るかと叱られそうだが、シンプルに考えてもこうしたさりげなくの感動ってのはうれしいじゃないか。もしも鈴鹿サーキットに行く機会があったら、この “パドックトンネル” と命名されている通路を楽しんでいただきたい。
 

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