至福の移動式バー。

3年ぶりに日常が戻りつつある。5、6月の週末はすべてイベントで塗りつぶされ、平日も出張が増えた。その帰りの新幹線で、の席は今日のタイトルどおり移動式のバーとなり疲れを癒す。極上の車窓も肴となる。ほとんどが真っ暗な中にポツンと灯が見えたり、街が少しずつ近づいてきたりとさまざまな表情で楽しませてくれるのだ。

 

出張が多いと人に話すと、大変ですねと労ってくれる方と羨ましいとおっしゃる方に分かれる。僕はもちろん後者のタイプで、出張は大好きだし海外が多い方の苦労話を聞くとやはり羨ましいなと思う。残念ながら僕の海外出張は数えるほどしかないが、それでも仕事で海外経験をさせてもらえたのだからありがたいことだ。

 

新幹線の席を移動式のバーにするようになって、駅構内や近くのコンビニの商魂に感心させられている。まず必ずお世話になるのが、ご覧のロックアイスグラスだ。大きめのカップにうまい氷が入っている…と、ただそれだけのことながら街中のコンビニではあまり見かけない。つまり、僕のような趣味を持つ男が多いということなのだ。長旅にこれひとつでは当然足らないから、追加用のロックアイスを買って、「いいちこ」と炭酸で準備万端に整える。そして僕の愛するいいちこにも、新幹線駅周りにはアルコール度数が12というものがある。これも普段はあまり見かけないが、ストレートでそのまま呑むためのいいちこだと考えられる。僕のようにしっかりと準備するのがかったるいという方々に愛されているのだろう。と、出張族アイテムが取り揃えられているまさしくコンビニエンスである。

 

プチ孤独感を楽しめるのも、車窓呑みの楽しさである。諸行無常を自分の人生の中に確認しながら、ふか〜い呼吸をするようにいいちこを呑むのは至福の時間である。自分をちっぽけに感じられる瞬間てのは、なくてはならないと常々思っていて「ふっ、こんなもんだぜ」と、ちょっぴりニヒルに、そしてやさぐれるように心で繰り返すのだ。今日はこれより長野出張だから、明日の帰りは極上だぜ。行ってきまーす。
 

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