続、東京マラソン。

昨日に続き、東京マラソンについてちょっと気になることがあり、追記させていただく。

残念でならない川内選手の結果だった。県職員でありながらオリンピックに出たらそれは快挙であり、痛快このうえない。去年の暮れに福岡国際をデッドヒートの末日本人最高位を獲得した姿は感動的で、東京でもきっとなにかやってくれると期待は大きくなる一方だった。実業団選手でないランナーが世界へと向かっていく。かつて谷川真理さんが皇居を走る市民ランナーから、オリンピック代表の一歩手前までいった。たしかに市民ランナーから始まったが、やがて実業団に所属しての世界へのチャレンジだったから、川内選手ほどの快挙は近代ではまずないことだ。24歳と若いことも魅力であり、勝負強さと粘りは暑い中での激走となるオリンピック向きだとも期待していた。いやはや、残念である(まだ可能性は十分残っているが)。

昨日の記者会見には頭を丸めて登場した。この辺も若さが前面に出ていて清々しく、レースに関してもひとつの言いわけもしない姿がまたいい。だが言いわけできる部分はたくさんあった。スペシャルドリンクを序盤で取れなかったことは、肉体的にも精神的にもダメージが大きかっただろう。とくにメンタルの部分は大きかったはずだ。前々日に行われた記者会見で、わざと自分を追い込むように藤原選手へ挑発的なコメントを出していた。それはこの大舞台への気合いの現れであり、ここに賭けていた若者には大きな試練となってしまった。ペースメーカーが川内選手のスペシャルドリンクを手にしたとの怪情報も流れているが、ともかく取れなかったことが響いたことは間違いないだろう。あれだけ多くのボトルが並ぶのだから、もっとテーブル数を増やすべきでないか。つまらないことでベストの力がでないことが、競技をどれほどつまらなくするかを、大会側はもっと突き詰めて考え対策してほしい。

もうひとつ大きな問題だったのが(怪情報は関係なく)ペースメーカーだ。今回は1㎞を2分58秒と3分ジャストで刻む、2組のペースメーカーが引っ張る想定になっていた。早い方に果敢に食らいついていったのが前々回の優勝ランナー、藤原正和選手で相当のリスクを背負っての勝負だった。だが、ペースメーカーがグタグタで早くなったり遅くなったり、ついていった選手たちは序盤をペースメーカーによって揺さぶられた格好になった。後半にここについたランナーが総崩れになったのは、これが原因として大きいことはいうまでもなく、藤原選手は文句の1つも言いたかっただろう。国際レースのペースメーカーとしては、少々力不足だった。

慎重に調整を重ねてのぞんだレースが、こうしたくだらない要因で崩されるのは見ている方にとっても残念でならない。選手たちの無念やいかに。それを頭を丸めて謝罪とはあっぱれであり、藤原選手もなにも語らずだ。こうした部分こそマスコミの出番じゃないか。選手たちの立ちションベンの写真を勝ち誇ったように載せて批判するより、よっぽど有意義だと思うのだが。川内選手は今回の無念をバネに、また新たな気持ちでがんばってほしい。年齢的にもキャラクターとしても魅力的で、これからの選手だ。オリンピックで走る姿を見られる日が待ち遠しい。

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