残り2ヶ月の2010年。

さあ、カレンダーも残り少なくなってきたぞ。
うちのカレンダーは、キツネさんの親子がやわらかな陽に包まれている
11月らしいビジュアルになった。
大晦日までは、ほぼ休み無く走ることになるとの気合いを入れる。

来月11日発売になる今年最後で、なんとか季刊で1年回した結果となる
冬号の制作が佳境にはいっている。
今日は午後から本木さんのインタビューをやって、明日は早朝の日本橋から
東海道を西へと進む徒歩での旅に出る。
さまざまな取材が続き、原稿を書いて書きまくって
いろんな角度の業務から160ページをまとめ込む。
それが終わると年末進行と呼ばれる恐怖の日々をバイク関連の仕事に追われ
年末であるからおつきあいもバシバシと舞い込んでくる。

早いものですなあ、きっとみなさんそう感じていることでしょう。
一瞬が積み上がって1日になり、1週間になり、1ヶ月になり、1年になる。
そして思う。とどのつまり、一瞬に対してどこまで集中できるかが
実力ってヤツなんだよね。
そいつをできる限り上へと持っていきたいと踏ん張る自分がいて
諦めようとする自分もいて、酒呑んでさぼりたい自分がいて
うまくいかなくて悔しがったり苦しんでいる自分がいる。
前へといく、とどまろうとする、後ろを向く…、といろんな自分がブレンドされながら
前へと進んでいくのだと。
天才と呼ばれる人はきっと後ろに引っ張る自分がほとんど存在せず、
グイグイと走っているのだろう…、と思っていた。

現在、阪神タイガースの城島選手が、大リーグでチームメイトだったイチローさんを称して
彼は練習のための練習をすると語っていた。
考え抜いて自分のベストで仕事に臨む姿はいつも感心させられ
きっと後ろ側に引っ張るイチローさんなんか存在しないのだろうなと思わされたのだった。
やっぱりなあと。
ところが、村上春樹さんがマラソンの瀬古さんにインタビューをしたときのことを書いていて、
これは凡人の僕向きだった。
愚問だと思いつつも、シューズを履いたときに
今日は走りたくないという瞬間があるのかと訊ねたそうだ。
瀬古さんはあたり前だろうと答えたと。
なんでそんなことを訊くんだという表情付きだったと。
それは春樹さんには意外だったということで
あれだけの一流選手でもそんなことがあるのかと綴っている。
僕にとってはそれを訊く春樹さんも、急に身近に感じてしまったのだ。
あの春樹さんが、やっぱりそんな弱い自分を持っているからこそ愚問と思いつつ
訊いたということが僕には意外だった。
イチローさんや瀬古さんとまったく同じ領域にいる方だと思っているから。
そんな超人的天才だと思っていた方が、やっぱり後ろに向くときもあるんだなんて
勝手ながら納得してしまい、後ろを向いている自分への嫌悪感が
少しだけ軽くなった気がした。
そいつともつき合いながら、でもやっぱり前へと進んだ方が気持ちいいからいくのだって。

そんな自分への最大のご褒美が、もういくつ寝ると〜お正月〜、だね。
大晦日から3日までの4日は、ここ数年しっかりと休むことにしている。
よし、今年もほんの少しだけど前へ進めたなと
大晦日の夕日を眺めている時間は最高で、毎年高くあがってしまうものの
初日を眺めながら今年も前へといくぞって誓う。
そんでもって、ずーっと呑み続ける。
ここら辺が凡人ですな。
俳句のひとつをひねったり、書き初めに興じたりといった
出版人らしい時間を過ごそうとはせずに、ひたすら呑んでいるものなあ。

残りの2ヶ月を気持ちよくまとめたいものだと、
あと2枚になったカレンダーを眺めている11月1日の早朝だ。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で